IDCフロンティア、「日本型」のクラウド基盤を低価格で
サーバやストレージなどのITリソースを月単位で貸し出すサービスをIDCフロンティアが開始する。低価格で提供し、24時間365日体制でサポート対応を実施するなど、海外ベンダーのPaaSと差をつける構えだ。
IDCフロンティアは6月23日、システム開発基盤をネットワーク経由で提供する「NOAHプラットフォームサービス」を、6月30日に提供すると発表した。月単位で契約できるPaaS(サービスとしてのプラットフォーム)を安価で提供し、サポート対応も拡充するなど、先行する海外企業のPaaSとの差を出した。
同サービスは、IDCフロンティアがシステム開発に必要なサーバやストレージ、ラックスペースなどを用意し、ネットワーク経由でITリソースを貸し出すもの。サーバのリソースは4CPU、16Gバイトまで、ストレージは2テラバイトまで拡張できる。
Windows Server OSなどのライセンスも同社が管理する。マイクロソフトが提供しているWindows Server 2008のハイパーバイザー「Hyper-V」を使い、システム構成などを柔軟に変更できる。
NOAHプラットフォームサービスは、IDCフロンティアとNEC、マイクロソフトの協力で開発したサービス。NECから「Express5800/スケーラブルHAサーバ」を、マイクロソフトからはHyper-V仮想化の技術協力を受けた。
価格は最小構成で2万5300円(税抜き)から。OSやデータベース関連のライセンス料金は別途必要。契約期間は1カ月から。ユーザー企業は独自の設備を用意せずに、初期費用を抑えた上で開発基盤を確保できる。SaaSの提供やシステム開発、キャンペーンサイトの構築など、短期間でITリソースを確保したい場合に使いやすい。
サポート体制は国内の専門スタッフが24時間365日体制で対応する。PaaS基盤の提供はGoogleやSalesforce.comなどが筆頭だが、時差や言語の違いにより、リアルタイムにサポートが受けられない場合もある。こうしたストレスも解消できるとしている。
IDCフロンティアは2月にヤフーによる買収を受け、社名をソフトバンクIDCから変更した。ヤフーの子会社として、主力のデータセンター事業に加え、SaaS(サービスとしてのソフトウェア)やPaaSといったクラウドコンピューティング関連のサービスも展開するとしていた。
関連記事
- 富士通の企業向けクラウドは中小も狙う 3年3000億円規模に
富士通が企業向けクラウドサービスを発表した。数十万台規模の仮想サーバからサーバなどの機能を提供する。関連するシステムインテグレーション事業も強化し、3年で3000億円の売り上げを目指す。 - NEC、プライベートクラウドに本格参入 基幹システムのクラウド化に自信
NECは企業の情報システムをクラウド環境に移行するサービスを7月に提供すると発表した。クラウド関連の専門要員を1万人育成し、中期で1000億円の売り上げを目指すなど、クラウド関連の事業を次の収益源と見立てている。 - ソフトバンクIDCが社名変更 クラウドサービスにも注力
ソフトバンクIDCは親会社の変更に伴い、4月1日付で社名をIDCフロンティアに変更する。データセンター運営事業に加え、SaaSを中心としたクラウドコンピューティング関連のサービスにも力を入れていく。 - ヤフーがソフトバンクIDCを買収 自社保有でクラウドサービス強化へ
ヤフーはソフトバンクIDCソリューションズの全株式を取得し、データセンター設備を自前で整備する。運用管理の効率化を図るとともに、クラウドコンピューティング関連のサービスを提供する基盤として、活用を進める。 - クラウドが救う経済危機下の企業経営 (1/3)
将来の有望な「概念」くらいのニュアンスでとらえられていたクラウドコンピューティングが、世界的な不況により急遽救世主になりつつある。『「クラウド・ビジネス」入門 -世界を変える情報革命』の著者、林雅之氏にクラウドが示す企業経営の未来について話してもらった。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.