ヤフーがソフトバンクIDCを買収 自社保有でクラウドサービス強化へ:米Yahoo!のサーバ管理技術を活用
ヤフーはソフトバンクIDCソリューションズの全株式を取得し、データセンター設備を自前で整備する。運用管理の効率化を図るとともに、クラウドコンピューティング関連のサービスを提供する基盤として、活用を進める。
ヤフーは2月19日、ソフトバンクIDCソリューションズの全株式を取得すると発表した。株式の取得金額は450億円。吸収合併により、ソフトバンクIDCソリューションズのデータセンター設備9カ所を自社で使えるようになる。インターネット事業やデータセンター事業の集中と効率化につなげる狙いだ。
ヤフーは、データセンター設備を事業者にアウトソーシングしていた。ソフトバンクIDCソリューションズを子会社化することでデータセンター設備を自社で保有、「米Yahoo!の持つサーバ管理技術を使える」(ヤフー広報)ようになったことで、データセンターの運用と効率化を進めていく。
データセンターの最適化に伴い、「クラウドコンピューティング周りのサービスにも力を入れる」(ヤフー広報)。ヤフーは個人向けにWebメール「Yahoo!メール」や、法人向けのオンライン決済代行サービス「Yahoo!ウォレット」など、インターネット経由でさまざまなサービスを提供している。データセンターの運用を最適化することで、こうしたサービスの開発や開発基盤の提供などに注力できるという。
自社保有によるデータセンター関連のコスト削減数値は「未定」(ヤフー広報)としている。一方、吸収合併によりデータセンター関連の事業において「3年間で80億円の営業利益増を見込んでいる」(同)という。
ヤフーは、ブログをはじめとするCGM(ユーザー参加型メディア)や動画コンテンツが普及してきたことを受け、将来自社で取り扱うデータの量が増加すると予測。SaaS(サービスとしてのソフトウェア)などのクラウドコンピューティングの提供や、Webサービスを開発するプラットフォームのオープン化も見据え、データセンターの基盤構築を検討していた。
ソフトバンクIDCソリューションズは、全国9カ所でデータセンターを運営し、データセンター事業やIPネットワーク事業を手掛ける。
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