表示モニター、サイネージ、電子黒板――業務用ディスプレイ市場の今:アナリストの視点(2/2 ページ)
近年、家庭用テレビだけでなく、街頭や店舗などで大型/小型ディスプレイを目にする。商品の販売促進や交通案内の表示、店舗誘導などに業務用端末を使う企業が増えているからだ。それに伴い、業務ディスプレイの市場はどのように推移するのだろうか。
デジタルテレビ需要の拡大
業務用ディスプレイ市場において存在感が高まっているのが、法人ルートで販売されるデジタルテレビだ。薄型モニター市場の伸長が目立つ中、業務用途(表示モニター)としてデジタルテレビの利用が増えている。特に活況を呈しているのが、ホテルや病院が導入するテレビ視聴用途のものだ。地上デジタル放送への移行に伴い、需要が拡大する。
また2009年には、「スクール・ニューディール」構想において、公立の小中学校に設置しているアナログテレビを地上デジタルテレビ放送に対応したデジタルテレビへと置き換える方針となった。政府発表によると、全国の公立小中学校を中心に、その需要は43万5000台に上る。チューナーの導入にとどめる教育機関も出てくるものの、2009年のデジタルテレビの市場規模は、前年比で2倍近い実績を上げると予測される。
業務用ディスプレイ市場の今後
薄型モニター市場が拡大する中で、幅広いサイズを取りそろえた液晶モニターが主役の座を奪いつつある。一方で、これまで市場をけん引してきたPDPモニターの市場は、参入企業の撤退などに伴い、縮小傾向にある。価格優位性のある大型サイズのディスプレイでは一定のシェアを獲得していくだろう。
デジタルテレビは、2010年まではテレビ視聴用としてホテルを中心に需要が拡大する見通しだが、民生用テレビ市場とは異なり、早い段階で普及が一巡するとみられる。その後は市場が縮小していくと予想される。ただし、業務用途のデジタルテレビは液晶モニターよりも価格が安いため、今後も需要が高まっていくとみられる。
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