既報の通り、富士通は1月22日、同日付の取締役会の決定により、社長交代と、社長を補佐する5人の副社長を選任する人事を4月1日付で実施すると発表した。次期社長に選ばれたのは執行役員常務でシステムプロダクトビジネスグループ長の山本正己氏。4月の社長就任を前に、1月22日付で執行役員副社長に就任した。富士通では歴代社長の中で2番目の56歳という若さを生かし、「グローバルIT企業としての位置づけを強化する」と意気込んだ。
4月から会長職に専念する間塚道義現会長兼社長は記者発表会で「クラウドコンピューティングに関するビジネスが拡大する中で、人を中心とするIT活用を意味する“ヒューマンセントリック”というパラダイムシフトが起きる」と指摘する。PC、IA(インテルアーキテクチャ)サーバの責任者を務め、Fujitsu Siemens Computersの100%子会社化をリードするなど、これまで大きな変化に直面してきた山本氏の経験を評価した。「決めたことを徹底的にやりぬく」という性格面の特質も決め手になったとしている。
山本氏は、ヒューマンセントリックを実践する際に、携帯電話やPCが人とネットワークの重要な接点になるとして、引き続き注力する考えだ。野副州旦前社長が打ち出したIAサーバ重視の事業展開についても「大きな変化はない」と話した。2008年の国内のIAサーバの台数シェアは、NECが26%で1位、日本ヒューレット・パッカードが24%、デルが17%と続き、富士通は14%の4位。野副前社長は2009年3月30日の記者説明会で、2010年に30%超の1位にすると話している。一方、世界シェアは2008年の台数ベースで、1位はHewlett-Packardの35%、2位がDellの27%、IBMが14%で3位。富士通は4位で4%程度だった。富士通はこれを2010年に7%に引き上げ、将来的に10%超を目指すとしている。
加えて、富士通にとって半導体開発が引き続き高い位置づけになるとした。
併せて発表された5人の副社長は、それぞれ担当分野を持つ。海外ビジネスを担当するのは現執行役員副社長のリチャード・クリストウ氏、サービスビジネスやクラウドなどを同執行役員上席常務の石田一雄氏、システムプロダクト全体を同執行役員常務の佐相秀幸氏、ソリューションビジネスを同執行役員の生貝健二氏、コーポレート管理部門を同執行役員常務の藤田正美氏がそれぞれ4月1日以降副社長として統括する。
山本次期社長の趣味は読書とゴルフ。学生時代に剣道をしていた影響で、好きな言葉は「心技体」。家族構成は妻と2男1女。富士通入社の動機は「教授の推薦」としている。
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