コンピュータ御三家、新社長の手腕:伴大作の木漏れ日(3/3 ページ)
NEC、日立、富士通の「コンピュータ御三家」が、ここに来て相次いで社長人事を発表した。各社の思惑は何か。「グローバル化」「若返り」がキーワードになっている。
合従連衡
今、三社がそろって存亡の危機に立たされているのは間違いない。確かに、日立製作所の情報通信グループはほかの2社と比べると好調かもしれないが、世界的に見た場合、単なるIBMのパートナーとして今後の成長戦略をIBMに委ねるのかという疑問が残る。ストレージの世界でもシェアを急速に高めているHPの存在は不気味だ。
富士通は、何といっても、5人の副社長体制に疑問が残る。スピードが求められる現代経営でそのような合議制が果たしてまともに機能するのか。また、IAサーバで世界50万台の販売達成など実現可能なのか。これに関しては、野副さんが退任して、間塚さんに代わったことで明らかにトーンが下がったが、新社長も目標堅持を明言した。しかし、具体策は何も明示されていない。もし、これが掛け声倒れに終われば、富士通の世界におけるプレゼンスはなくなってしまう。
NECも、サーバ、クライアントPC市場でずるずるとシェアを失い続けている。しかも、今回も社長は通信畑から選ばれた。このままなら、コンピュータ部門は自然死を迎えるだけだ。
このように、3社はそれぞれの部門で提携したり合弁会社を作ったりしている。一方で、IAサーバに代表されるように「不毛な競争」を繰り広げている。ストレージ部門でも同様だ。
このような状況を一刻でも早く終らせ、安定した国内市場に支えられて海外に乗り出すのが本来の姿だ。今回の社長交代を機に、各社は自社の強みをもう少し明確に認識し、大胆な再編を行う時期ではないだろうか。彼らに残された時間はそれ程長くない。
関連記事
- IAサーバ重視は変わらず――富士通の山本次期社長
- 経営説明会で社長交代を発表したNECの思惑
- 日立が社長交代 副社長の中西宏明氏が昇格
- 「未来産業」のゆくえ
- 変わる世界
- 2010年という年
- 鳩山さんとコンピュータ――2010年代の産業政策
- 世界の潮流と日韓
- クラウドバーストの衝撃
- クラウドって何だ――流行り言葉に隠された真実
- 遠ざかるスパコン世界一の座
- 競争が激化するx86市場――IBMとHP、そして富士通
- 会社が無くなる――根底から変化する日本の産業構造
- がんばれ日立
- HPの新製品「ProCurve」発表にみる本気度
- 日本の技術力が生きる「グリーンニューディール」
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.