若い人材の教育は日本への投資、ぐいぐいと引っ張っていきたい:「リーダーシップと実現力」ヘッドストロング・ジャパン(2/2 ページ)
景気の低迷と政治の停滞で暗たんとした2010年が終わり、新しい年が始まった。これからのリーダーはどうあるべきか。ヘッドストロング・ジャパン副社長・金融サービス業統括担当バイスプレジデント北添裕己氏に聞いた。
ITmedia 2011年の日本に求められるのは、どのようなリーダーでしょうか?
北添 ぐいぐいと周囲をけん引できるリーダーシップを持っている人だと思います。リーダーにはぐいぐいけん引していくタイプと、仲間の背中を押して任せるタイプがいますが、日本にはいまけん引型が少ないのではないでしょうか。
ビジネスで勝つためにはスピードと品質が求められます。日本はICカードや新幹線などの特定技術や品質では優位に立っていますが、機動力では諸外国に負けています。いまの日本には機敏さや行動力が必要です。
そういえば、かつては「黙ってオレから技を盗め」というように多くを語らない上司がたくさんいました。私もそういう上司から学んだものです。しかし昨今の若手は学校で丁寧に教えてもらうことに慣れているせいか、導いてもらうのを当然のように期待しているところがあります。昔の上司のように部下の自主性に任せるわけにはいきません。
それを嘆く仲間もいますが、嘆いてもはじまりません。彼らはそのように育ったのですから、そうした部下ならそれに合わせて育てる、引っ張っていくことも大事です。これもいまのリーダーに求められていることなのかもしれません。
最近いただけないなと思うのは、新人採用の場面で日本人以外を優先するような風潮があることです。日本の企業であれば、まず日本人や日本で育った人材を生かす道を模索することが大事ではないかと思います。相手が受け身なら、先ほど示したように、徹底的にプロジェクトの全貌や背景を説明し、期待される役割や要求されるスキルを理解させた上で、仕事へのコミットメントに合意させるのです。
新人は企業にとって、そして日本という国にとっても貴重な投資です。最初は戦力になりませんが、それをいかに育てるか、能力を引き出すかが上司や先輩の仕事です。そうはいっても受け入れる余裕がないという事情は分かりますけどね。
こう考えるのは子育てを経験したからかもしれません。未来のある人間を見ていると気付かされることが多くあります。これからの人間にチャンスを与えるのはとても大事です。
これからの人間にはできるだけ早くに失敗体験や成功体験を効率良く経験させたい。そのためなら私は顧客と結託してシナリオを仕組み、わざと一度失敗させてからリカバリするところまでもやることがあります。顧客に直接ダメ出しされるのが一番こたえますからね。もちろんダメージの少ない形に準備や演出はしますし、顧客との信頼関係もある特定条件下でないとできませんけれど。
そういう意味ではいわゆる尻拭いは大事でして、部下の裁量にある程度任せておきつつも、要所要所でアドバイスを送る準備や、最後の仕上げで手抜きや自己満足に終わらないための厳しいツッコミを準備して、「知恵を搾り出す」ことを要求しています。
ITmedia 北添さん自身は2011年、どのようなリーダーを目指しますか?
最近は調和を図るよう努めることが多かったのですが、これからはぐいぐいけん引していく「引っ張り型」のリーダーに戻す必要性を感じています。どうすればもっと良い引っ張り型のリーダーになれるのか。人材の有効活用も含め、行動しながら考えていこうと思います。いまは昔ブログに書いたような、習得した理論と自身の経験に基づく評価軸で部下のプロファイルを丁寧に洗いなおしているところです。
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