「脱・炎上マーケティング」できるソーシャル活用とは?――ループス斉藤氏に聞く(2/2 ページ)
企業がソーシャルメディアを活用する上で、“炎上”のリスクは常に付きまとう。いかに炎上リスクを抑え、顧客との良好な関係を築いていくべきか。企業のソーシャルメディア活用支援を手掛ける、ループス・コミュニケーションズの斉藤徹氏に聞いた。
縦割りの壁を取り除き、共通のハブをつくる
公式アカウントの運用に消極的であったり、ソーシャルメディアの利用価値を誤解している経営層の意識を変えるためには、「まずは自社に関する情報がどれだけソーシャルメディア上に投稿されているかをまとめて提出し、ソーシャルメディアのインパクトを認識してもらうことが重要」と斉藤氏は話す。
次に求められるのは、ソーシャルメディアを自社でどのように活用すべきかを検討する「ソーシャルシフト推進室」の設置だ。各部署から有志メンバーを集めて同推進室を構成し、ソーシャルメディアに関する勉強会を定期的に開催することで、社内でソーシャルメディア活用に対する共通認識を育てていくことが重要だという。
「勉強会への参加者は最初は少ないかもしれないが、社員の個人アカウントなどを通じて次第に規模が大きくなり、必ず企業の経営層を巻き込むまでに拡大するはず。企業のトップは通常、自社の利益に関わることに非常に関心があるため、ソーシャルメディアが自社に与えるインパクトさえ示せば、草の根はどんどん広がっていくだろう」(斉藤氏)
次のステップは、ソーシャルメディア推進室を、目的別に運用されている各公式アカウント担当者間の“ハブ”にすることだ。これまで企業の公式アカウントは部署ごとに“縦割り行政”的に運用されていることが多く、担当者の異動や上司の指示などによって運用体制が不安定になってしまう問題があったと斉藤氏は話す。そこで、同推進室をアカウント担当者の共通のハブにすることで、各アカウントの独立的な運用体制をサポートしていくことが重要だという。
「理想を言えばソフトバンクの孫社長やローソンの新浪社長のように、トップダウンで『ソーシャルメディアを活用しよう』と言えるのがベストだが、それは現実的にはなかなか難しい。しかしソーシャルメディアの普及によって社内でも“透明化”が起きている今だからこそ、草の根運動によって企業内で『アラブの春』を実現できるはずだ」(斉藤氏)
関連記事
- ソーシャルメディアに消極的な企業、日本とドイツで多数――ClearSwift調べ
ソーシャルメディアの効果を期待しつつも、セキュリティへの懸念から積極的な利用を踏みとどまっている実態が明らかになった。 - 企業が経験したソーシャルメディアのトラブル
シマンテックの調査から、企業でのソーシャルメディア利用が増え、機密情報の漏えいやそれに起因した訴訟問題など悪影響が生じている実態が明らかになった。 - ソーシャルメディアの企業利用、浮かび上がるセキュリティ面の課題とは?
ITmediaとITRはソーシャルメディアの業務利用に関する読者調査を実施した。マーケティング・広報目的に価値を見出す企業が多く、今後のさらなるビジネス上の効果を期待する傾向が高いことも分かった。また、情報漏えいにつながる可能性を恐れてソーシャルメディアの業務利用を控えるという実態も明らかになった。 - 「Twitterを理解していなかった」――UCC、キャンペーン“炎上”を説明 勉強会で経験共有へ
UCCがTwitterキャンペーン炎上について詳細に説明。失敗からの教訓を糧に、Twitterマーケティングに関する勉強会を開き、その内容を公開する予定だ。 - まんべくんTwitterアカウント停止へ 発言を長万部町が問題視
北海道長万部町のキャラクター「まんべくん」のTwitterアカウントが太平洋戦争について言及したツイートに対し同町に苦情が相次ぎ、同町はTwitterアカウントの運用を中止すると発表した。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.