「日本の顧客サービスを世界へ」――日産とMS、次世代販売店システムを共同開発
日産とマイクロソフトは、自動車販売店での顧客対応をスムーズにする「次世代ディーラーマネジメントシステム」を、ハイブリッドクラウド上に構築する。
日産自動車の行徳セルソ 執行役員グローバル情報システム本部長、同社のアンディ・パーマー副社長、米Microsoftのキリル・タタリノフ マイクロソフトビジネスソリューション担当プレジデント、日本マイクロソフトの樋口泰行社長(左から)
日産自動車と日本マイクロソフトは12月12日、日本マイクロソフトのCRM(顧客関係管理)アプリケーション「Microsoft Dynamics CRM」をベースとした「次世代ディーラーマネジメントシステム」を共同開発すると発表した。新システムによって、販売店が顧客情報をタブレット端末などからいつでも登録・確認したり、ソーシャルメディア上のマーケット情報を把握したりできるようにするという。
ディーラーマネジメントシステムは、顧客からのオーダー管理や顧客データの登録・管理などを行う自動車販売店用の業務アプリケーション。日産の行徳セルソ 執行役員グローバル情報システム本部長によると、同社の従来システムでは顧客が来店してもすぐに誰だか分からなかったり、顧客からオーダーを受けた際にいつ自動車が届くかを即座に確認できなかったりする問題があったという。
新システムでは顧客情報の一元管理や、サプライチェーン管理システムとの連携などにより、「従来のクルマ中心から顧客中心へと視点を変え、“100%おもてなし”の販売店対応を実現する」(行徳氏)としている。
日産は、まずは2012年12月をめどに国内で新システムの試験運用を開始。2013年8月ごろに国内ディーラーへの展開を始め、2014年3月までに国内での本格普及を目指す。さらに、国内普及が完了した段階で、中国やタイをはじめとするアジア市場への展開も見込む。行徳氏は「日本の販売プロセスは世界でも対応できる。日本流の“おもてなし”をグローバルに展開していきたい」と話している。
また、ディーラーマネジメントシステムは月末に処理が集中する特性があるため、それに合わせて余裕を持ってサーバリソースを用意する必要があった。これにより、通常時には多くのサーバリソースが余剰になってしまうという問題があったという。
新システムでは、基盤として日本マイクロソフトのパブリッククラウドサービス「Windows Azure Platform」と日産のプライベートクラウド基盤を組み合わせたハイブリッドクラウドを利用。これにより、日産は現在約500台のサーバで運用している国内のディーラーマネジメントシステムの運用コストを20%ほど削減できると見込む。
行徳氏は「将来的にはディーラーマネジメントシステムだけでなく、生産管理やサプライチェーン管理などさまざまな分野のアプリケーションのクラウド化が重要と考えている。今回のハイブリッドクラウド構築がうまくいけば、順次他のアプリケーションにも拡大していきたい」と話している。
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