クラウドやアナリティクスで競争力を高める米国ホンダとF1レッドブルレーシング:IBM Pulse 2014 Report(2/2 ページ)
2日目を迎えた「IBM Pulse 2014」カンファレンスでは、米国ホンダやF1のレッドブルレーシングなどが登場し、クラウドのパワーや高度なアナリティクスによって競争力を高めている顧客事例が紹介された。
レッドブルが追求するのはF1マシンのはスピードだけではない
スピードを追求するF1レーシングチーム、その頂点に立つのが、4年連続でワールドチャンピオンに輝く英国のRed Bull Racingだ。しかし、同社に課せられたのは、単にクルマの速さだけではない。いかに迅速にF1マシンをデザインし、シーズンを通じて改良を繰り返して行けるかだ。
「華やかなF1だが、レース場に行けるのは社員の1割に過ぎない」と笑うのは、Red Bull RacingでCIOを務めるマット・カデュー氏だ。
F1はその年のレギュレーションに合わせてクルマを開発すれば終わりではない。不具合もあれば、レース場ごとに異なるパーツを組み合わせ、最高のパフォーマンスを叩き出せるように改良を繰り返す。
「エンジニアリングの変更は年間3万件に上る。スピードが命だ」とカデュー氏。
週ごとに19の国を転戦するF1では、常にイノベーションが求められ、改良されたパーツをパドックまで確実に届ける必要もある。ビジネスプロセスも柔軟かつリーンでなければならない。
もちろん、Red Bull RacingではITのパワーをフル活用している。マシンのデザインはすべてコンピュータの仮想世界で行い、パーツも3次元CADから直接作られる。ほかのメーカーと同様、PLMやERPも導入するなど、アプリケーションの数は200を超えるという。
中でも特筆すべきは、テストもかなりの部分をコンピュータによるシミュレーションで済ませたり、マシンから発生する膨大なデータを分析し、マシンの改良やセッティングからレースの戦い方に至るまで、その洞察を役立てていることだ。
右の写真は、英国にあるRed Bullのデータアナリティクスセンター。金曜日と土曜日の予選、そして日曜日の本戦と、レース中もリアルタイムでフル稼働し、チームのマシンデータはもちろん、ライバルのデータも加えて分析と格闘する。
「ITのパワーがなければ、もはやレースには勝てない」とカデュー氏は話す。
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