Microsoftが仕掛けるクラウドパートナー戦略の勘所:Weekly Memo(2/2 ページ)
Microsoftがクラウド事業におけるパートナー企業とのエコシステムづくりに注力している。果たしてパートナーやユーザー企業にどのようなメリットがあるのか。
独自ソリューションが求められるクラウドパートナー
ソージェン氏はさらに、CSPプログラムのビジネスモデルにも言及した。具体的には、Microsoftと直接取り引きを行う「1-Tier CSP」と、クラウド流通会社を介して取り引きを行う「2-Tier CSP」の2つのモデルからなる(下図参照)。違いは、課金請求や24時間365日体制のユーザーサポートを、1-Tier CSPは自ら行い、2-Tier CSPはクラウド流通会社に委託することだ。
同氏は、「1-Tierは大手、2-Tierは中小規模のCSPが担う形になるだろうが、いずれもパートナーからは非常に関心を寄せていただいている」と手応えを感じているようだ。ただ、現時点でのCSPの契約社数や社名は明らかにしなかった。
CSPプログラムの説明を一通り聞いたうえで、筆者はソージェン氏に「CSPになったパートナーは確実に収益を上げられるようになるのか」と質問した。すると同氏は次のように答えた。
「クラウド事業は一定水準を超えれば確実なストックビジネスになる。加えてパートナーごとに独自のソリューションを提供すれば、収益率をさらに上げることができる。すでに相当数のCSPが収益を上げている。その実績こそが、CSPプログラムの有効性を物語っている」
パートナーにとっては心強い話だ。では、ユーザーにとってのメリットは何か。ソージェン氏は「CSPが提供するサービスは、さまざまな業種業態のユーザーに対して、幅広くきめ細かなソリューションになる。しかもユーザーにとっては、Microsoftの高品質なクラウドサービスを、信頼するプロバイダーから利用することができる」と語った。
これは想像できた答えだったので、さらに「ユーザーからすれば、クラウドサービスのマーケットプレイスを利用して必要なものを取り込めば、パートナーを通じてサービス提供を受けなくても安くてほしいものを手に入れられるのではないか」と投げかけてみた。すると同氏は次のように答えた。
「確かにマーケットプレイスも広く利用されるようになっていくだろう。ただ、そこにおいても多種多様なユーザーニーズに応えるサービスをそろえていく必要がある。そうしたサービスの多くはパートナーが提供しているものだ。さらにオンプレミスと連携したハイブリッドクラウド利用に対しては、パートナーがインテグレーションを行う必要がある。そう考えると、もちろんコストパフォーマンスの追求を前提としたうえで、パートナーとのエコシステムがクラウド事業の決め手になると、私は確信している」
ソージェン氏の話は説得力があった。ただ、今回の取材を通じて改めて思うことがあった。それは、インテグレーションを含めて独自のソリューションを持たないプロバイダーは、クラウド時代にはこれまでにも増して生き残れないということだ。それを象徴するかのように、同氏が独自ソリューションのことを、しばしば「IP(intellectual propety:知的財産権)」と表現していたのが印象的だった。
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