Workdayのファイナンスにクラウド版Informatica、壮絶な“初物導入の舞台裏”全部見せます:怒濤の5並列プロジェクトを振り返る(1/8 ページ)
あの、話題のプロジェクトの現場で、実際にどんなことが起こっていたのか――。初物ソリューション導入の「いいことも悪いことも全て」公開するというイベントが開催された。
2018年11月、ITコンサルティング会社、ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズのセミナールームを貸し切って興味深いイベントが開催された。
とある企業で行われたクラウド型ERP導入プロジェクトの振り返りと、プロジェクトに参加したステークホルダー間のディスカッションを“観客を入れた公開形式”で行うというものだ。
「とある企業」とは、料理レシピ投稿・検索サービス「クックパッド」を運営するクックパッド。同社は現在、企業体質の強化とグローバルビジネスの拡大を目指し、業務システムの刷新に取り組んでいる。
既にその取り組みの第1フェーズは完了し、その経緯は別途、取材記事で詳しく紹介している。
目次
1.なぜ、導入プロジェクトの振り返りミーティングを“公開”するのか
4.「業務をいかにパッケージに合わせられるか?」という永遠のテーマ
7.オープンなコミュニケーションで醸成された「一緒にやりましょう文化」
なぜ、導入プロジェクトの振り返りミーティングを“公開”するのか
クックパッドではもともと、業務現場ごとに独自の判断でシステムを導入した結果、“部分最適のシステム”が社内に乱立することになり、「社員マスターが幾つも存在し、最終的にどれが正しいのか分からない」という状態にあった。
「このままでは、とてもグローバルビジネスを支えられるスケーラブルなシステムは実現できない」――。そう考えた同社のコーポレートエンジニアリング部 部長の中野仁氏が、基幹システムの刷新プロジェクトを起案した。
本来は3年がかりで段階的に基幹システムを刷新していく計画だったが、既に海外展開を進めている状態であり、短期間で刷新する計画を立てた。結果的に5つの基幹システム刷新プロジェクトを同時並行で進めるという離れ業にチャレンジすることになる。
幾多のピンチを乗り越えながら、結果的に何とか1年半で基幹システムの刷新を成し遂げたが、特にERPの刷新プロジェクトは難産だったという。
ERPパッケージの選定に当たっては、グローバルビジネスにおけるスケーラビリティを重視した結果、海外企業や外資系企業では数多くの実績を持つ「Workday」の採用を決めた。クラウド型ERPとして近年、ユーザー数を伸ばし続けている同製品は、特に人事システムの人気が高く、日本においても導入例が多い。しかしクックパッドは今回、この人事システムとともに、日本国内ではまだ採用例がない「財務管理システム」の導入に踏み切った。
国内初となる導入プロジェクトということで、クックパッドの担当者はもちろんのこと、パッケージベンダーや開発パートナーの担当者、外部のコンサルティング企業から招いたプロジェクトマネジャーなど、さまざまな立場の人々が新たなチャレンジに直面することになった。
本イベントでは、そうした当事者たちが一堂に会して、あらためてプロジェクトを振り返りながら忌憚のない意見をぶつけ合い、今後に役立つ知見を導き出すことを目的として開催された。
なお、参加メンバーの内訳は以下の通り。
- クックパッド:中野仁氏ほか、IT部門担当者5人、業務部門担当者5人
- 導入パートナー:4人(PwC、パソナテキーラ)
- 製品ベンダー:4人(Ascender、Informatica、Workday)
司会進行は、ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズのバイスプレジデント、白川克氏が務めた。
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