新たなジャンルとして登場した「微アルコール」飲料が注目を集めています。
お酒を飲めない、あるいはお酒が苦手な方でも雰囲気を味わえる「ノンアルコール」飲料もありますが、どう違うのでしょうか。
微アルコールとは、アルコール度数を1度(1パーセント)以下に抑えた新カテゴリーのドリンクです。3月にアサヒビールが発売した「アサヒビアリー」がそのパイオニアとして位置付けられています。
以前から低アルコール商品は存在していました。例えば、サントリーの「ほろよい」シリーズ、アサヒビール「アサヒSlat」シリーズ、サッポロビール「サッポロ WATER SOUR」シリーズなどです。
これらのアルコール度数は約3度。市販のチューハイやサワーはだいたい5〜7度(ストロング系は約9度)ですから、比較的飲みやすい度数となっていて、若者を中心に受け入れられています。
微アルコールは、それと比べてさらにアルコール度数が低いですが、ノンアルコール商品ではない。この絶妙なポジショニングが注目を集めています。
酒税法によって、基本的にアルコール商品には税金がかけられています。ただし、アルコール度数に関する基準があって、1度未満であれば法律上は「酒類」に入りません。
つまり、微アルコールは税金がかからないのです。これはノンアルコールと同様で、商品表記上も「ビールテイスト飲料」「炭酸飲料」などとなっています。
なお、ビールは350ミリリットル缶1本につき70円、発泡酒(麦芽比率25パーセント未満)は約47円、第3のビール(新ジャンル)は約38円、チューハイやサワーなどの「RTD」(レディー・トゥ・ドリンク)は28円の税額となっています。
アサヒビールが微アルコール商品を販売した背景には「スマートドリンキング」というメッセージが関係しています。
これは、“飲む人も、飲まない人も、ひとりひとりが、自分の体質や気分、シーンに合わせて、適切なお酒やノンアルコールドリンクをスマートに選べる時代へ“というもの。消費者の選択肢を広げるために微アルコールというカテゴリーを作ったと説明しています。
同社はアルコール度数3.5度以下のアルコール関連商品の販売容量構成比を、2025年までに20パーセントに引き上げるとしています。
「アサヒビアリー」はアルコール度数が0.5度ながらも、本格的なビールのような風味や喉ごしを楽しめます。
その秘けつはビールを醸造してからアルコール分だけを極力取り除く製法にあり。これによって、ビール由来原料ならではの麦芽のうまみとコクを出すことができるのです。
「サッポロ ザ・ドラフティ」はサッポロビールが9月に新発売した微アルコール飲料。アルコール度数は0.7度です。
製法は基本的にアサヒビアリーと同じく、麦芽100パーセントの生ビールを醸造した上で、アルコール度数を調整します。サッポロビールが販売する他のビール商品と同様、しっかりとした麦のテイストを感じることができます。
「ブローリー プレミアムラガー」は、オーストラリア産の麦芽とホップを使用した、アルコール度数約0.9度のビールテイスト飲料です。
ビールと同様の製造工程で作りつつ、アルコール度数の上昇を抑えるために、途中で発酵を止めています。健康にも配慮し、100ミリリットルあたり15カロリー、プリン体1ミリグラム未満となっています。
「アサヒビアリー 香るクラフト」はアサヒビアリーの第2弾となる商品。ネーミングにもあるように、フルーティーで華やかな香りを添えたビールテイスト飲料です。
ホワイトの爽やかで優しいパッケージなど、女性人気が高まりそうな商品です。当初は首都圏・関東信越地区での限定販売でしたが、9月末から全国展開がスタートしました。
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