自動車メンテナンスの基本ともいわれるのが「エンジンオイル」の交換。車にとってエンジンオイルは、人間でいう血液と同じような役割を担うとても重要な存在です。
エンジンオイルを定期的に交換しないと、燃費の低下や振動・騒音の原因となります。最悪の場合は、エンジンが壊れてしまうことも。今回は、エンジンオイルの選び方やおすすめを紹介します。
大学卒業後、大手メーカー系自動車販売会社に勤務。在職中は個人顧客を中心に年間平均60台の新車を販売。自動車保険の見直し提案などの経験も豊富。その後、金融業界に精通した業務・教育支援を行う会社に転職し、法人営業に従事するとともに、2級ファイナンシャル・プランニング技能士およびAFP資格を取得。2018年よりライターとして活動を開始。新車ディーラー業界の裏話やファイナンシャルプランナーの視点から見た車購入アドバイスだけでなく、お得なカー用品やガジェット紹介等も得意とする。私生活では3児とうさぎ2羽の父。【保有資格】2級ファイナンシャル・プランニング技能士、AFP(日本FP協会認定)
はじめに、エンジンオイルが持つ3つの役割を確認しましょう。
エンジンは数多くの機械部品で構成されています。部品同士が互いに動くことでエンジンを動かしているのですが、これらの部品は密着しているため摩擦が起きます。エンジンオイルは部品同士が円滑に動くように、潤滑油としての役割を担っています。
エンジンはガソリンを爆発させて動力を得ていますが、その際にエンジン本体が高温となります。その高温となったエンジンを冷却するための役割も、エンジンオイルが担っているのです。
数多くの機械部品で構成されているエンジンは、動かすごとに燃焼時のすすなどが部品に付着して汚れていきます。その汚れを洗い流す効果も、エンジンオイルが担っています。
前述したようにエンジンオイルにはさまざまな作用があります。エンジンオイルは時間の経過や走行距離が多くなればなるほど汚れ、劣化してきます。
汚れたエンジンオイルだと十分な潤滑・冷却・洗浄の作用を発揮できないので、こまめな交換をする必要があります。
エンジンオイルはさまざまなメーカーが販売しているので、種類も豊富。オイルは主に3つの種類に分類することができます。
エンジンオイルはその名の通り、原油(石油)から作られている商品です。鉱物油は、その原油から不純物を取り除くことで精製されたものとなります。
鉱物油の特徴は価格の安さです。ただ、劣化が早いというデメリットがあります。品質よりも価格を重視したい人にはおすすめです。
全合成油は原油を化学的に分解し、エンジンオイルに適した精製をすることで極力不純物を排除したエンジンオイルです。メーカーによっては化学合成油と呼ばれることもあります。
全合成油の特徴は、厳しい環境下でも性能が劣化しにくいという点と、極端に暑いもしくは寒い環境下であっても対応できるという点です。ですが、価格が高額になってしまうのがデメリットです。鉱物油と比較すると3倍以上になってしまう場合もあります。
部分合成油は鉱物油と全合成油を調合したオイルとなります。鉱物油のリーズナブルさと、全合成油の高性能さの「良いとこどり」をしたものです。
部分合成油を選ぶ際に気をつけたいポイントは、「鉱物油と全合成油の配合割合」です。同じ部分合成油でも、配合割合によって価格に差があります。
エンジンオイルを選ぶ際に、「オイル粘度」もチェックしておきたい点です。オイルがサラサラしているか、ドロドロしているかによって、適合している車種や用途が異なります。ここでは、車種別に合うオイル粘度の一例を紹介します。
ベーシックなガソリン車の場合、エンジンオイルの粘度は「5W-30」もしくは「0W-20」がおすすめです。前者がもっともスタンダードなオイルで、後者がいわゆる低燃費車と呼ばれる車向けです。
低燃費なハイブリッド車の場合は、基本的には「0W-20」でOK。ただし、メーカー指定で「0W-16」といった軟らかいオイルが採用されている場合があります。硬いオイルを選択すると燃費にも影響が出る可能性があります。
新車から年数が経過している、走行距離が多い、といった車に対しては、メーカー指定よりも硬めのオイルを選択した方が良いケースもあります。例えば「0W-16」だけど「0W-20」を入れるなどした方が、オイルが漏れにくくなる可能性もあります。「オイル漏れ防止」の添加剤を合わせて入れるとよいでしょう。
高性能エンジンオイルの代名詞ともいえるのが、「モービル(Mobil) 1」。「マイナス40度の世界ではバナナで釘が打てますが、モービル1なら滑らか」といったテレビCMを覚えている人もいるでしょう。そのような過酷な状況下でも性能を発揮できるオイルとして有名なオイルです。
寒冷地だけでなく、エンジンが常に高回転で回る高温な状況でも使用できるので、スポーツカーにおすすめのオイルです。性能が高い分、価格も高価な部類となりますが、高性能な車に必須のオイルといえるでしょう。
とにかく安価にオイル交換をしたい人におすすめなのが、CAPスタイルの「モリグリーン エンジンオイル セレクション 5W30」です。オンラインショップでの実売価格は、4Lで2000円前後となっています。1L当たり500円を切るこの価格は、コストパフォーマンスに優れています。
価格が安い分性能が劣るのでは、と思ってしまうかもしれませんが、全合成油でSP規格という、2023年現在で最新の規格のオイルとなっています。耐久性やスラッジの出にくさ、燃費の良さも申し分ありません。カー用品販売大手の「オートバックス」の子会社が販売している商品なので、安心感もあります。
最近のエコカーで採用されている「0W-20」のオイルを探しているなら、TOYOTAの「純正モーターオイル SP 0W-20」がおすすめです。TOYOTAの純正オイルで、最新のSP規格に準拠しているので安心感もあります。
メーカー純正品と聞くと、高価なイメージを抱く人が多いかもしれません。オンラインショップでの実売価格は4Lで3400円前後なので、1Lあたり約850円。意外とコストパフォーマンスの高いオイルとなっています。
もちろんTOYOTA以外のメーカーの車でも問題なく使用できるので、指定オイルが0W-20の車に乗っている人はぜひ検討してみてください。
HKSというメーカーを知らない人もいるかもしれませんが、スポーツカーやチューニングカーが好き、という人なら一度は見聞きしたことがあるメーカーでしょう。HKSはチューニングパーツを製造・販売しているメーカーです。
その「SUPER OIL 5W-30」は、チューニングパーツメーカーのエンジンオイルなので、スポーツカー向きなのではと思うかもしれませんが、街乗りでも十分に活用できるように設計されています。また、車のチューニングで得たノウハウを商品に還元しているので、安心感もあります。
最後は、エンジンオイルではありませんが、オイル添加剤の紹介です。経年劣化したエンジンは部品(オイルパンなど)の繋ぎ目が劣化して、オイルが漏れ出てくることがあります。
そのようなときに、オイル漏れを防ぐ添加剤を入れることで、症状を改善する効果があります。シュアラスター(Surluster)と聞くと洗車用品のイメージが強いかもしれませんが、添加剤でも評価が高いので安心感があるでしょう。「LOOP エンジンストップリーク」はオイル交換時、エンジンオイル3〜6Lに1本の割合で添加して使用します。
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