自転車利用者のヘルメット着用努力義務化が間近に迫り、年明けから駆け込み需要が続いています。2000円程度のものから3万円を超えるものまでさまざまな商品があるので、どれを買おうか迷っている人も多いことでしょう。
ここでは、機能性に優れたヘルメットの選び方や、おすすめの商品を紹介しますので、製品選びの参考にしてみてください。
モーターサイクル&自転車ジャーナリスト。短大卒業後、好きが高じて二輪雑誌の編集プロダクションに就職し、6年の経験を積んだのちフリーランスへ。ニューモデルの試乗記事だけでもこれまでに1500本以上執筆し、現在進行形で増加中だ。また、中学〜工高時代はロードバイクにものめりこんでいたことから、10年前から自転車雑誌にも寄稿している。キャンプツーリングも古くからの趣味の一つであり、アウトドア系ギアにも明るい。
警視庁の「自転車用ヘルメットの着用」について記載されたページには、着用すべきヘルメットの種類について“乗車用”と明記されています(出典:警視庁)。つまり、建築現場などで作業員がかぶっている“飛来・落下物用”や“電気用”はNGということです。
また最近では、自転車保険の加入を義務化している自治体が増えていますが、保険会社の中には「当社所定の安全基準を満たしていないヘルメットを着用していた場合」についてはヘルメットを着用していなかったとみなし、保険金を受け取れないところもあります。
一般財団法人製品安全協会が認定したSGマークや、欧州のCEマークなどが付いた製品は、公的機関の試験基準に合格しているので、安全性の高い製品と言えます。極端に安価なものには付いていないことが多いため、ヘルメット選びにおいて大きな判断材料の一つとなるでしょう。
転倒などのアクシデントでヘルメットがアスファルトに強く接触すると、頭部には直線的な衝撃とねじれ方向の衝撃が伝わります。この2つの衝撃のうち、ねじれ方向の衝撃を緩和する技術として、世界中で143ものブランドが採用しているのが「MIPS(ミップス)」です。
MIPSは、衝撃を受けた際、内部に設けられた低摩擦ライナーが瞬間的にずれることで回転エネルギーを緩和する仕組みで、見た目には非常にシンプルです。現在、自転車用だけでなくウインタースポーツ用や登山用、産業用の分野にまで普及しています。MIPSが採用されたヘルメットは、より安全性が高いと言えるでしょう。
かつて競技向けの乗車用ヘルメットは、上位モデルほど高価で軽量になるという風潮があり、一時期は170gというスマートフォン並みに軽いものが販売されていました。現在は200g台前半が主流になっており、MIPSを採用するとわずかに重量が増える傾向にあります。
着用努力義務化で注目を集める帽子タイプも、300g台前半に収まっているモデルが多く、これぐらいの重量までであれば長時間かぶっていても疲れにくいでしょう。
CEマークを取得しているロックブロス(ROCKBROS)のヘルメット。スモークグレーのシールドとサンバイザーが付属し、シチュエーションに応じて脱着できるのがポイントです。後頭部にはダイヤル式のアジャスターがあり、約57〜62cmの頭囲に対応。頭型は欧米型なので、縦幅・横幅サイズを商品ページで参照し、自分の頭に合うか確認した上で購入しましょう。シールドとサンバイザーが付属して4000円台半ばの値段と、コスパの高さが魅力的な商品です。
MIPSを搭載したウベックス(UVEX)のドイツ製シティヘルメット。後頭部にLEDテールランプが内蔵されているので、夜間に走行する人には心強い味方となってくれるでしょう。24個ものベンチレーションが設けられているので通気性が高く、走行風によって浸入した虫が頭髪に付着するのを防ぐ、バグネットも設けられています。
S/Mサイズで235gと軽量で、安全基準の一つであるJCF公認マークを取得しているオージーケーカブトの「ヴォルツァ」。BOAアジャスターによるきめ細かな調整システムや、通気性に特化したスタイリング、吸汗速乾性に優れるクールマックス内装など、徹底的にストレスを排除する技術が詰め込まれています。ロードバイクはもちろん、クロスバイクでスポーティーに走りたい人におすすめの製品です。
自転車用ヘルメットはサイズ選びが重要です。商品ページにある頭囲の測り方などを参照し、自分の頭に合うサイズを正しくかぶるようにしましょう。また暑くなるにしたがってヘルメットをかぶるのが億劫になりますが、その場合は吸汗速乾性に優れるインナーキャップなどを試してみてください。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.