Google Pixel Watch(以下、Pixel Watch)は、Googleが2022年10月に発売したスマートウォッチです。Pixel(ピクセル)ブランドとして初めて展開されたスマートウォッチで、同社が2021年1月に買収を完了した「Fitbit(フィットビット)」ブランドの知見も生かされた端末です。
Pixel Watchの価格は、「Bluetooth/Wi-Fi」モデルが3万9800円(税込、以下同)、「4G LTE+Bluetooth/Wi-Fi」モデルが4万7800円です。Android 8.0以上を搭載するスマートフォンと連携でき、iOS端末では利用できません。
この記事では、実際にPixel Watchを使用している筆者が、Pixel Watchを選ぶ上で知っておきたい特徴や注意点を紹介します。
スマートフォンやスマートウォッチ、タブレットを軸に、ICT機器やガジェット類、ITサービス、クリエイティブツールなどを取材。Webメディアや雑誌に、速報やレビュー、コラムなどを寄稿する。Twitter:@kira_e_noway
Pixel Watchのケースは、直径41mmの円形です。厚みは12.3mmあります。ケース部のみの重さは36gで、装着感は軽やかです。この価格帯では、競合メーカーの製品だと、軽量なアルミニウムケースが採用されていることも多いですが、Pixel Watchはリサイクル素材のステンレススチールを使用しており、高級感を伴った光沢感が特徴です。
ディスプレイには有機EL(AMOLED)が使われており、深みのある黒色を再現可能です。ベゼルは4mmほどあるものの、ディスプレイの黒い部分とシームレスになじんでいます。
こうしたデザインへのこだわりはPixel Watchにおける大きな魅力です。なお、ストラップバンドには、発売当初はフルオロエラストマー製の「アクティブバンド」のみが用意されていましたが、その後オプションとして「ストレッチバンド」「ウーブンバンド」「クラフトレザーバンド」「ツートーンバンド」なども展開されています。
Pixel Watchは、「Wear OS」で駆動しているので、他のWear OS搭載のスマートウォッチと比べ、使い勝手が特殊な部分はあまりありません。例えば、文字盤を左右にスワイプすることで、「タイル」と呼ぶアプリウィジェット画面に切り替わります。このタイル画面で歩数や心拍数、睡眠時間、天候などを素早く確認できます。
ワークアウトやヘルスケア関連の機能としては、Google Fit系の機能とFitbit由来の機能が混在しています。特に後者に関しては、高度な機能を利用するためには、有料のFitbit Premium(月640円または年間6400円)に加入する必要があります。
なお、Pixel Watchは、SpO2(血中酸素濃度)やECG(電気心拍)のセンサーを搭載するものの、日本国内では測定できないように制限されています。皮膚温の測定もできません。Pixel Watchは、基本的な活動量の測定機能が使えれば良いという人や、有料プランに加入しても良いという人に向いているといえるでしょう。
Googleサービスとの連携については、「Googleアシスタント」が利用できるほか、ウォッチ画面から「Googleマップ」のナビゲーションが使用できたり、「YouTube Music」の再生ができたりすることがポイントになるでしょう。
ただし、「YouTube Music」の操作には、「YouTube Music Premium」(月1180円)の加入が必要です。Pixel Watchの購入者には3カ月の無料期間が付帯しますが、ウォッチのためだけに加入するのはおすすめできません。すでに別途「YouTube Premium」(YouTube Music Premiumのライセンスも含む上位プラン)を契約している場合には、恩恵がある特徴だと思います。
Pixel Watchは、3時位置にリューズ、2時位置にボタンを備えており、リューズを2回押すことで「Googleウォレット」アプリを起動することができます。ここにSuicaを登録しておけば、決済デバイスにウォッチをかざすことで非接触決済ができます。
なお、筆者もSuicaの登録に挑戦したのですが、理由の分からないエラーが出てしまいました。類似の事態に遭遇したケースも少なからず散見されるので、これまでの使用歴などによっては、GoogleまたはSuicaのサービスを提供しているJR東日本に問い合わせる必要が出てくるかもしれません。
Pixel Watchのバッテリー持ちは、最大24時間しかありません。活用方法によっては、さらに短くなるでしょう。ワークアウトや睡眠計測なども利用する場合は、日に数度充電するのが現実的です。
競合のスマートウォッチと比べると、こうしたバッテリー持ちの短さが目立ちます。モバイル通信に対応したモデルを選択できるものの、スタミナ面との相性はあまり良くありません。
一方、充電については、約30分で50%ほど、約80分で100%を充電できます。充電のタイミングを工夫すれば、日常使用で困ることはさほどないでしょう。
以上のように、Pixel Watchは、長所・短所がはっきりしている端末です。Androidユーザーにとって、そういった部分を把握したうえで、洗練されたデザインを目当てに購入するなら魅力的な製品といえます。
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