最近の車にとって必須ともいえる装備が「カーナビゲーションシステム(カーナビ)」です。安価なものから高価なものまで数多くラインアップされています。最近だとスマートフォン用にカーナビ機能のあるアプリも登場し、どれを使えば良いのか分からない人もいるでしょう。
今回は、「据え置き型カーナビ」とスマホの「ナビアプリ」はどう違うのか、使い比べてみました。
大学卒業後、大手メーカー系自動車販売会社に勤務。在職中は個人顧客を中心に年間平均60台の新車を販売。自動車保険の見直し提案などの経験も豊富。その後、金融業界に精通した業務・教育支援を行う会社に転職し、法人営業に従事するとともに、2級ファイナンシャル・プランニング技能士およびAFP資格を取得。2018年よりライターとして活動を開始。新車ディーラー業界の裏話やファイナンシャルプランナーの視点から見た車購入アドバイスだけでなく、お得なカー用品やガジェット紹介等も得意とする。私生活では3児とうさぎ2羽の父。【保有資格】2級ファイナンシャル・プランニング技能士、AFP(日本FP協会認定)
据え置き型は、筆者の車に搭載しているALPINE製のカーナビ「ニッサン・セレナ(C27系)専用カーナビ EX11Z」です。このカーナビはALPINEのBIGXシリーズのもので、2018年に取り付けたので、5年前のモデルになるということはご了承下さい。
基本的なカーナビとしての機能はもちろん搭載されていますが、オーディオ機能としてAM/FMラジオやテレビ(地上デジタルフルセグ放送)、CD・DVDの再生、iPodなどの有線オーディオ再生、Bluetooth接続のオーディオ再生などにも対応しています。カーナビのハイエンドモデルという位置付けです。
また最新モデルの「BIGX」なら、スマホ連携機能として「Apple CarPlay」と「Android Auto」に対応しているので、スマホのナビアプリをカーナビ上で利用することも可能です。
一般的な施設検索だけでなく、子連れドライブでありがちな、急なトイレや衣類の汚れなどのトラブル発生時に、対応できる周辺施設を調べることができるのが便利です。
また後席モニターを取り付けている場合、「ダブルゾーン」という機能が使えます。例えば前席はラジオ、後席はDVD再生といったことも可能なので、ドライブ中に誰も退屈しないのもうれしい点です。
一方のナビアプリは、「Yahoo!カーナビ」を使ってみました。結論は「カーナビ必要ないんじゃない?」と思うくらい便利でした。
iOSおよびAndroidに対応しているので、スマホやタブレット端末にYahoo!カーナビアプリをインストールすることで利用できます(「Apple CarPlay」はiPhoneでのみ利用可能)。
基本的にカーナビとしての機能は網羅している、という印象を受けました。
目的地のワード検索にはもちろん対応しています。
目的地までのルート検索(有料優先、一般道優先)も可能です。スマホを横画面にすると、カーナビさながらの画面表示(左に地図、右にルート案内)になります。
他のナビアプリを使っていたときに気になったのが、案内時のルート選択です。車がギリギリ通れるような狭い道を案内するカーナビアプリとは違い、Yahoo!カーナビは比較的広い道を優先して案内する仕様になっているので、運転初心者でも安心して使えると思います。
また、ルート案内を使っていないときでも、Yahoo!カーナビを起動していると「一時停止」を教えてくれるので、知らない道などでの注意喚起をしっかりとしてくれるような印象を持ちました。
さらに4月には、首都高速道路と連携して「ETC専用料金所」のうち、誤進入が多い6カ所で注意喚起をする機能も提供開始しました(2023年夏までに「Yahoo! MAP」でも提供予定)。これにより、ETC非搭載車の誤進入を防いでくれます。
それでは、実際にALPINE製の据え置き型のカーナビとスマホアプリのYahoo!カーナビを使って、筆者が感じた点を紹介します。
案内の精度は、ALPINE製のカーナビに軍配が上がります。GPSを使って現在地を測位している、という点ではどちらも同じなのですが、それを補う部分に違いがあります。
ALPINE製のカーナビは、車に付いている車速センサーからも位置情報を把握しているので、GPSが入らないトンネルなどでも、ある程度車の位置を把握できます。対してYahoo!カーナビは、トンネルなどでは測位できなくなってしまいます。また右折・左折などの案内についても、ALPINE製のカーナビの方が分かりやすく感じました。
地図更新を考慮すると、Yahoo!カーナビが圧勝といえるでしょう。据え置き型のカーナビは、基本的に購入時点の地図情報から更新されません(有料で更新可能)。ナビアプリの場合は、基本的に地図情報が無料で更新されるので、費用がかかりません。
専用機ということもあるのか、ALPINE製のカーナビの方が充実しています。Yahoo!カーナビは駐車場やコンビニエンスストア、ガソリンスタンド、ファストフード店、ファミリーレストランなどは検索できるので、必要十分と思う人は多いでしょう。
ただALPINE製のカーナビは、飲食店を検索するにも和食やラーメンなど、ジャンルごとに検索することができるので、調べたい情報をピンポイントで検索することができます。ショッピング施設情報なども細かく表示されるので、充実しているといえます(もっとも、スマホではネット検索することもできますが……)。
追加費用がかからない点から、Yahoo!カーナビの勝利です。Yahoo!カーナビはスマホやタブレットがあれば使うことができるので、初期費用がかからないのが良い点です。ただ、スマホのインターネット回線を使うため、通信環境が不安定な状況では、しっかり使えない可能性はあります。
車に搭載した状態の見た目や一体感という点では、据え置き型のALPINE製カーナビの圧勝です。特に今回比較対象としたカーナビは車種専用設計なので、メーカー純正でなくても一体感があります。スマホやタブレットはホルダーなどが必要になるので、充電ケーブルなどが見えて雑多な感じになりやすいといえるでしょう。
ALPINE製のカーナビとYahoo!カーナビを比較してきましたが、結局どちらが良いかというと、「好みによる」といえます。後付け感が嫌だという人はスマホのナビアプリを選択するのは厳しいと思うので、据え置き型のカーナビ一択です。見た目はあまり気にしない、お金をかけたくない、という人はYahoo!カーナビで問題ないでしょう。
最近は車用のディスプレイオーディオが主流になっており、スマホ連携機能が充実しているので、オーディオ部分は車に据付でカーナビ部分についてはスマホにお任せ、という使い方も可能です。
実際にALPINEでは、最大で11インチの大画面を搭載した「ディスプレイオーディオ DAF11Z」も販売しているので、こちらも選択肢の1つとして考えられます。
車や使用する人の好みに合わせて選んでみてください。
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