通勤通学ユーザーを中心に人気を集めているのが、排気量50cc超125cc以下の「原付二種クラス」です。勢いよく売れているのはスクータータイプですが、左手と左足での変速操作を必要とするMT(マニュアルトランスミッション)車も、趣味性の高いモデルとして昔から根強く支持されています。
今回は2023年6月現在、日本で正規販売されている「125ccクラス」の中からおすすめのバイクを紹介しましょう。
モーターサイクル&自転車ジャーナリスト。短大卒業後、好きが高じて二輪雑誌の編集プロダクションに就職し、6年の経験を積んだのちフリーランスへ。ニューモデルの試乗記事だけでもこれまでに1500本以上執筆し、現在進行形で増加中だ。また、中学〜工高時代はロードバイクにものめりこんでいたことから、10年前から自転車雑誌にも寄稿している。キャンプツーリングも古くからの趣味の一つであり、アウトドア系ギアにも明るい。
通勤通学など日常の足として、またバイク趣味の入門クラスとしても人気の高い「125ccクラス」。スロットルだけでエンジンを操縦できるAT(オートマチックトランスミッション)車と、左手でクラッチレバー、左足でシフトペダルの操作も必要とするMT(マニュアルトランスミッション)車に大別でき、前者はスクータータイプが該当します。
125ccまでのバイクに乗れる免許は「小型限定普通二輪」で、クラッチレバーの操作が不要なスクータータイプについては「AT小型限定普通二輪」で乗ることができます。AT小型限定は、4輪の普通自動車免許を持っていれば、教習所にて最短2日で取得可能。MT車とAT車のどちらも運転できる小型限定は、最短6日で取得できます。
ちなみにEUでは、16歳以上になると取得できるA1ライセンスがあり、排気量125cc以下(最高出力15ps以下)のバイク全般に乗ることができます。この免許区分のおかげで、125ccクラスはスクータータイプだけでなく、趣味性の高いスポーツモデルも多いのです。
任意保険が4輪のファミリーバイク特約で加入できる、燃費が良い、自動車重量税がかからないなど、維持費の安さも125ccクラスのメリットの1つでしょう。また、50cc以下の原付一種で義務付けられている二段階右折や、法定速度時速30km縛りも不要となります。さらに乗車定員が2名のモデルであれば、タンデム走行ができるのも見逃せません。
125ccクラスのバイクは250ccや400ccクラスよりも車体が軽くてスリムですが、排気量が少ない分だけエンジンは非力です。最高出力が高いモデルほど、力を発揮できるエンジン回転域(パワーバンド)が狭くなり、コーナリングからスムーズに立ち上がるには、常に適切なギヤを選び続ける必要があります。その頻繁なギヤチェンジを面倒だと感じる人もいますが、うまくパワーバンドを維持できるようになると、軽い車体を生かしてのスポーティーな走りを堪能できます。これこそが125ccのMT車の醍醐味で、ベテランライダーがセカンドバイクとして選ぶ理由の1つにもなっています。
ほぼ唯一のデメリットが、高速道路など自動車専用道路を通行できないことで(横浜新道の一部区間など例外あり)、そのためロングツーリングにはあまり向いていません。一方で普段使いがメインであればメリットは多く、売れている理由に納得するでしょう。
なお、今回紹介するラインアップに、ホンダのスーパーカブシリーズは含まれていません。スーパーカブは左足によるシフトペダルの操作こそ必要ですが、自動遠心クラッチというレバー操作が不要なシステムのため、AT小型限定普通二輪免許で乗れるから、というのがその理由です。とはいえ、日本では「CT125・ハンターカブ」を筆頭に、原付二種クラスで売れに売れているシリーズですので、別の機会で紹介したいと思います。
「CB125R」は、最高出力15psを発揮する水冷シングルを、靱性(じんせい)に優れた高張力鋼ダイヤモンドフレームに搭載するスポーティーネイキッドです。ショーワ製の「SFF-BP」という上位モデル譲りの高性能な倒立式フロントフォークや、125ccクラスでは珍しいラジアルタイヤ、そしてニッシン製のラジアルマウント式キャリパーをフロントに採用するなど、足周りに関して一切の妥協がありません。
シート高は815mmで、これは兄貴分の「CB250R」より20mm高いのですが、車重が14kgも軽いので、片足だけでも車体を余裕で支えられます。フルデジタルの液晶メーターやオールLEDの灯火類など、所有欲を満たしてくれる各種装備も魅力でしょう。
スズキにおけるスーパースポーツの称号“GSX-R”を名乗り、レースでも活躍しているシリーズの末弟が、「GSX-R125」です。エンジンは最高出力15psを発揮する水冷シングルで、これをスチール製ダイヤモンドフレームに搭載しています。
先に紹介したホンダの「CB125R」と比べるとタイヤは前後とも2サイズずつ細く、しかも高性能なラジアルではなくバイアス構造なのですが、リヤにリンク式のサスペンションを採用していることが有利に働き、峠道での鋭いコーナリング性能はまさにスーパースポーツのそれです。なお、「GSX-R125」をベースにしたネイキッドモデル「GSX-S125」もラインアップされていますので、前傾姿勢が苦手という人はこちらをおすすめします。
ダカールラリーやモトクロス世界選手権、モトGPなどでの活躍が目覚ましいオーストリアのメーカー・KTM。同社の象徴でもある美しいトレリスフレームに搭載されるのは、最高出力15psを発揮する水冷シングルです。2022年にフルモデルチェンジし、よりモトGPレーサーに近いスタイリングとなりました。WP製の倒立式フロントフォークは、高性能なオープンカートリッジタイプとなり、伸縮両減衰力の調整が可能に。ブレーキはリヤのABSを無効化できるスーパーモトABSモードを備えており、よりレベルの高いライダーの操縦にも応えることができます。
価格はスズキの「GSX-R125」より20万円以上も高いのですが、それに見合うだけのポテンシャルを秘めているのが「RC 125」なのです。
韓国のバイクメーカー・ヒョースンの「GV125Sボバー」は、フェンダー(泥除け)を短く切り落としたような外観が特徴で、原付二種クラスとは思えないほど威風堂々としたスタイリングとなっています。車名の末尾にあるボバーは、カスタマイズのジャンルの一種で、ヘアスタイルのボブカットが名称の由来とされています。
エンジンは水冷60度V型2気筒という非常に凝ったもの。上位の300ccモデルと車体が共通なので非力感は否めませんが、この個性的な外観にして非常に乗りやすく、安定感のある走りが旅へと誘ってくれます。KTMの「RC 125」と同様、「GV125Sボバー」も車両価格は高めですが、他の人とは違うバイクに乗りたいという人にはピッタリな1台でしょう。
最後に紹介するのは、イタリアブランド・SWMのフルサイズトレール車。本国には排気量297.6ccの「RS300R」というモデルがあり、その車体に124.7ccの水冷シングルを搭載し、A1ライセンスでも乗れるようにしたのが「RS 125 R」です。
このエンジンは典型的な高回転型で、7000rpmを境に一気に吹け上がるというスパルタンさが持ち味。また、前後ともサスペンションストロークは非常に長く、本格的なダート走行を視野に入れた足周りのセッティングとなっています。シート高が950mmもあるのでまたがるだけでも一苦労ですが、原付二種で林道を走りたい人にとっては最適な選択と言えるでしょう。
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