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<vol.12の内容>
「マーケットレポート:転職サイト比較調査」(5)
第5回目は、15社の各サイトの「強み」「弱み」を「満足度」の点で比較してみる。満足度の向上には、ユーザーの利用経験が欠かせない
「特集:ワンダーマーケットB2C」(5)
人気アナリスト:荒木正人氏による日本のB2C市場に関する連載コラム。最終回となる今回は、企業価値と顧客数の関係について解説
ネットインサイダー編集部では、株式会社プロシークの協力を得て、転職サイトの利用実態を明らかにすべく、主要な15の転職サイトを対象に1万人にアンケート調査を実施し、488人の回答を得た。その結果を本誌面で6回に分けて報告する。
| 大変満足 | やや満足 | どちらともいえない | やや不満 | 非常に不満 | ||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 合計 | 3% | 9% | ***** | 53% | *** | 33% | 4% | |||
| Digital B-ing | 2% | 6% | **** | 46% | **** | 42% | 5% | |||
| Find Job | 0% | ** | 20% | ** | 20% | ****** | 60% | 0% | ||
| Sim-career | 0% | 8% | *** | 35% | ***** | 50% | 8% | |||
| ecareer | 6% | * | 18% | ***** | 53% | ** | 24% | 0% | ||
| en | 3% | 7% | ****** | 61% | ** | 29% | 0% | |||
| Nikkeibp-expert | 5% | * | 14% | ****** | 67% | * | 14% | 0% | ||
| Asia-net | 0% | * | 10% | **** | 45% | **** | 40% | 5% | ||
| JOBMAIL | 7% | 0% | ***** | 57% | ** | 29% | 7% | |||
| JobJungle | 3% | * | 10% | ****** | 60% | ** | 25% | 3% | ||
| 最もよく利用する求人サイト | % | |
|---|---|---|
| 1位 | JOB JUNGLE | 36.6 |
| 2位 | Digital B-ing | 29.2 |
| 3位 | en | 6.9 |
| 4位 | Sim-career | 5.5 |
| 5位 | Nikkeibp-expert | 4.8 |
| 6位 | ecareer | 4.2 |
| 6位 | Asia-net | 4.2 |
| 8位 | JOBMAIL | 2.9 |
| 9位 | Find Job | 2.1 |
| 10位 | 登龍門 | 0.8 |
| 10位 | JOB JOB | 0.8 |
| 12位 | worktank | 0.6 |
| 12位 | JOBWORLD | 0.6 |
| 14位 | Career Space BJ | 0.4 |
| 15位 | JOB IN JAPAN | 0.2 |
| (注2)全回答数は476 | ||
転職サイト15社全体については、「どちらともいえない」が53%と最も多く、次いで「やや不満である」(33%)となっている。「満足している」+「やや満足している」は約10%と転職サイト全体に対して、ユーザーから高い満足度は得られなかった。
ただし、オープンアンサーを見てみると「求人数が少ない」という回答が多いかったものの、「真剣に探していない」「早急に転職を考えていない」「まだ使い始めたばかり」といった理由で「どちらとも言えない」を選択しているユーザーも多かった。
このことから、現時点での転職サイトのユーザーは「転職潜在ユーザーが多い」他に、「利用し始めたばかり」という特徴があることがわかる。
−転職サイトの王者「Digital B-ing」のユーザー満足度はわずか8%と極めて低い
今回の調査で、認知度、訪問度、応募度などがダントツでトップであった「Digital B-ing」は「どちらとも言えない」が46%、「やや不満である」が42%であった。「満足している」+「やや満足している」の両者を足してもわずか8%と転職サイトの王者「Digital B-ing」においても、利用者に対して十分な満足度を提供できていないようである。
「やや不満である」という回答が多かったサイトは「Find Job」と「Sim-career」であり、両サイトともこの回答が過半数を越えている。「Find Job」はやや不満が多いものの、「やや満足している」は9社中トップの20%で評価が二極化している。
なお、「満足している」+「やや満足している」が20%を超えたのは、「ecareer」「Find Job」「Nikkeibp-expert」の3サイトだけであった。
ユーザーの評価がグレーとなっているサイトは「JobJungle」「en」「Nikkeibp-expert」「ecareer」「JOBMAIL」の5サイトである。オープンアンサー数が多かった「JobJungle」の回答を見てみると「実際に応募していないから」「まだあまり利用していない」「他のサイトを見ていない」など前述した通り、まだサイトの利用が本格的ではなく、きちんと評価をする段階に至っていないというユーザー像が見えてくる。
この点については、ユーザーが利用経験を重ね、サイトを使いこなすようになった段階で各サイトの評価がより明確になっていくものと思われる。
投資家はリピート客比率とウェブサイトのアクティブユーザー数に着目するべきである。販売後のコミュニケーション機能を強化し、リピート客比率を高められれば、顧客獲得コスト(CAC)が低下するため、利益貢献も可能になる。
アクティブユーザーとは、メールの返信があるユーザー、アンケートに答えてくれるユーザー、細かい属性までを提供しているユーザーなど、ウェブサイトによって定義は様々であるが、いずれの場合も"購入見込客"だからである。
米国のB2C市場においては、伸び率で調整した顧客数(アクティブユーザー数とほぼ一致と仮定)と企業価値(=時価総額)の間に比較的強い相関関係がみられる。
B2Cの代表的なプレーヤーとして、アマゾンドットコム、プライスライン、イーベイ、そして、バーンズアンドノーブルを取り上げてみる。2000年第2四半期末時点での累積顧客数はアマゾンが22.5百万人、プライスラインが6.8百万人、イーベイが15.8百万人、バーンズアンドノーブルが5.6百万人である。
これに、1999年第1四半期から2000年第2四半期までの5四半期間の各プレーヤーの平均伸び率を掛けた「伸び率調整済み顧客数」は、2000年第3四半期はアマゾンドットコムが27.4百万人、プライスラインが9.6百万人、イーベイが21.0百万人、そして、バーンズアンドノーブルが7.1百万人となる。
「伸び率調整済み顧客数」と企業価値(=時価総額)の関係をみると、関係の強さを表す「Rの2乗」が2000年第3四半期は0.86、2000年第4四半期は0.92、2001年第1四半期は0.96となる。つまり、顧客の数とその伸び率が企業価値に影響を与えるのではないかと思われる。
他方、顧客が多く、且つ、伸び率が高くても、顧客を抱えることによって赤字を出しているならば、企業価値は高くならない。そこで、顧客1人当たりから得られる粗利益と顧客1人当たりに要する販売・マーケティング費用の差をみることが重要である。この指標は効果的な販売促進活動も表す。
アマゾンドットコムは2000年第1四半期まではマイナスであったが、第2四半期には0.3ドルの黒字に転換した。プライスラインは1999年第4四半期から黒字に転換し、その後、黒字額が増加している。2000年第2四半期にはは2.9ドルの黒字となった。1999年から黒字化しているイーベイは約3ドルを安定して計上している。
他方、バーンズアンドノーブルは、販売・マーケティング費用が粗利益を大きく上回って、赤字を出し続けている。これらの結果、8月14日の終値でみた各プレーヤーの企業価値は、アマゾンドットコムが1.3兆円、プライスラインが4,500億円、イーベイが1.5兆円、そして、バーンズアンドノーブルが680億円となる。
B2Cプレーヤーの企業価値には、顧客数、顧客数の伸び率、そして、顧客当たり利益が影響を及ぼすのではないかということが推測できる。
日本ではネット販売を事業基盤とし、且つ、株式を公開しているプレーヤーが未だ少ない。よって当面は、コミュニケーション機能を活かして、見込客の「育成」や「啓蒙」を志向している大京、近畿日本ツーリスト、ラオックスの他、見込客のインターネット利用に合わせてウェブサイトを強化していると思われる本田技研工業やソニーなどもB2C事業の勝ち組みプレーヤーの候補として注目したい。
(おわり)
なお、本稿について図表を含めた詳細は、
弊社のウェブサイト< http://www.witcapital.ne.jp/ >を参照されたい。
| 略 歴 | |
|---|---|
| 1967年11月 | 香川県丸亀市に生まれる |
| 1991年 3月 | 東北大学経済学部卒業 |
| 1991年 4月 | 株式会社三和総合研究所入社 |
| 主に、カーディーラー、住宅販売会社、食品販売会社のマネジメントコンサルティング業務に従事 | |
| 1999年 3月 | 青山学院大学大学院国際政治経済学研究科国際ビジネス専攻課程修了 |
| 1999年 8月 | 株式会社一吉証券経済研究所入社 |
| 主に、ヤフー、インターキューなどのインターネット関連担当のアナリスト業務に従事 | |
| 2000年 3月 | ウィット・キャピタル証券株式会社入社 |
| ヤフー、サイバーエージェント、楽天など、インターネット広告企業、Eコマース企業を中心にカバレッジ | |
| 2000年 4月 | 日経金融新聞の人気アナリストランキング「IT・インターネット部門」にランクイン |
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