連載
» 2002年09月07日 12時00分 公開

Business Computing(2):読者調査結果発表〜ナレッジマネジメント・システムの導入状況と課題とは〜

[小柴豊,@IT]

 企業経営におけるナレッジマネジメント・システム(以下KMシステム)の導入は、LANの浸透/グループウェアの登場などを背景に、1990年代半ば以降急速に進んだといわれている。一時のKMブームは去った感があるが、インターネット時代を迎えて情報資産の価値が高まる今日、その重要性はより増していると言えるだろう。本稿では、Business

Computingフォーラムが実施した第2回読者調査から、現在のKMシステム導入状況やその課題についてレポートする。

現在のKMシステム導入率=約3割

 はじめに、Business Computing 読者が関わるシステムにおける、KMの導入状況から見てみよう。図1の通り、現在KMシステムを導入/運用しているのは、回答者全体の約3割であった。また「今後1年以内に導入する予定」「導入を検討中」という回答も合計すると3割を超えており、KM市場は今後とも継続的に成長していく模様だ。

図1 KMシステム導入状況 (全体 N=316)

 以下では、KMシステムの現導入者および導入予定/検討中の回答者197人にフォーカスして、その導入実態などを見ていこう。

KMシステム導入目的:共通目的は、“情報管理”

 まず改めてKMシステムの導入目的を確認したところ、導入/予定者の8割近くが「社内の各種ドキュメント/情報の一元管理と共有」を挙げており、情報管理こそKMの最大目的であることが明らかになった(図2)。また、それに次いで「社員の生産性向上」「社員間コラボレーション促進」といった社内業務支援のポイントが上がっている反面、「企業間コラボレーション促進」「顧客満足度の向上」などの社外的効用に関しては、現在のところあまり目的化されていない様子だ。

図2 KMシステム導入目的 (KM導入者/予定者 n=197)

KM導入/運用の課題:“目的や意識が浸透しない”

 次にKMシステムを導入/運用する際の課題をたずねた結果、もっとも大きなハードルは「ユーザーにKM導入目的や情報共有意識が浸透しない」点にあることが分った(図3)。ほかにも「実際にKMを推進する人材/実行組織の不在」「KMシステムの導入効果が不明瞭」など多くの課題が挙げられているが、“目的意識が共有できない”ことは、それら運用面の課題に先立って、KMの根幹に関わるクリティカルな問題と言えるだろう。

図3 KM導入/運用時の課題 (KM導入者/予定者 n=197)

 ちなみに読者のKM体験談からは、以下のようなコメントが寄せられた。

  • ツールを導入しても企業のカルチャーは変わらない(VAR/SI:社内情報システム)
  • 現場の意見に全く耳を貸さないシステム部門が導入したシステムは、生産性を著しく悪化させる(情報サービス業:システム開発・設計)
  • ボトムアップから発生した「必要に迫られた」KMは成功する(VAR/SI:社内情報システム)
  • 導入支援する部署と、実際に使用する側とで、事前すりあわせが足りないために、ほとんど敵味方のようになってしまうのは案外よくある(製造業:システム開発・設計)

 こうして見ると、KMの成否は“システム導入前”の段階で、どれだけユーザーと意識を共有できるかにかかっているようだ。ここでもう一度図2を振り返ると、従来KM導入目的は「情報管理」に力点が置かれていたが、KM本来の「知識経営」実現のためには、「社員の意識や組織風土の改革」こそが重視されるべきものなのかもしれない。

今後注目のKMツールは?

 さて後半では、KMシステムを実現する技術やツールの利用状況/利用意向について、紹介していこう。

 まず読者の関わるシステムで今後利用予定のKMテクノロジ分野を聞いた結果、「グループウェア」がトップに挙げられた(図4)。以下「イントラネット」「電子ファイル/ドキュメント管理」といった、これまでKMシステムを形成してきた伝統技術(?)が続く中、「EIP(企業情報ポータル)」利用意向が3割を超えている点が注目される。

図4 KMで利用予定の技術/ツール (KM導入者/予定者 n=197)

 KMツールとして今後も利用意向が高かったグループウェアについて、代表的な製品の導入状況/導入予定をたずねた結果が、図5だ。現在は「ロータス

Notes/Domino」導入率が最も高くなっており、「サイボウズ」「マイクロソフト Exchange Server」がそれに続いている。

図5 KMツール導入状況/導入予定:グループウェア

 グループウェアに続いて、EIPツールについての導入状況も聞いてみた(図6)。まだ広く導入されている製品はないものの、今後の予定を見ると「マイクロソフト

SharePoint Portal Server」「日本アイ・ビー・エム WebSphere Portal」といった、ソフトウェア総合ベンダーのポータル製品に注目している読者が比較的多いようだ。

図6 KMツール導入状況/導入予定:EIPツール

KMツール選択時の重視点:簡単/快適が一番

 最後に上記のようなKMツールを選択する際の要件を聞いた結果、KM導入/予定者の7割以上が「ユーザーが簡単/快適に使いこなせること」を重視していることが分った(図7)。KMツールは、ITリテラシの高低に関わらず多くのユーザーが日常的に使ってこそ価値があるものだけに、その使い勝手が重要であることは強調されてしかるべきだろう。

図7 KMツール選択時の重視点 (KM導入者/予定者 n=197)

調査概要

  • 調査方法:Business Computing フォーラムからリンクした Webアンケート
  • 調査期間:2002年7月1日〜8月2日
  • 回答数:316件

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ