事例紹介:RSコンポーネンツ コスト効率の高い少量資材調達ソリューション(2/2 ページ)

» 2004年11月27日 12時00分 公開
[大津心,@IT]
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導入後3年間は我慢して、改造を行わないのが成功の秘訣

コールセンターの様子。2面モニタを巧みに駆使して電話注文などを入力していく コールセンターの様子。2面モニタを巧みに駆使して電話注文などを入力していく

 神奈川県横浜市にある本社には、カスタマーセンターが設置されている。カスタマーセンターには、電話対応を行う要員が約20名、FAXとWebからの注文を対応する要員が12名、テクニカルサポートが8名、データ管理要員が4名常駐している。各員のデスクには2面モニタが用意されており、電話対応しながら受注作業などを行っている。1回の通話時間は、受注の場合でおおよそ2分くらい、テクニカルサポートの場合で3分くらいだという。

 テクニカルサポートでは、「××というネジのピッチ間隔を教えてくれ」など、実際に現物を見ながら対応しなければならない場合もあるため、倉庫にも1名テクニカルサポート要員が交代で常駐している。受注の約半数がWeb経由に移っており、今後も拡大傾向にあるが、在庫が足りない場合などはすぐ電話に誘導できるように、Webサイト上のデザインを工夫しているという。

 杉山氏は、「今後はWebサイトでの受注件数を全体の7割まで増加させたい。しかし、ユーザーの環境によってはWebページからの注文ができない場合もあり、やはりWebサイトのみの受注に限定することはないだろう。現在は、XMLで企業ポータルから直接受注できるように連結した顧客企業もいる」と説明した。

 同社では、1999年にERPの「PeopleSoft EnterpriseOne」とCRMの「PIVOTAL」を導入した。導入後、コールセンターなどからは「インターフェイスの変更」「ERPに無駄な入力が多い」など、社内からかなりの要望が上がってきたという。しかし、杉山氏は「最初の3年間はクレームが出ても待ち、4年目に要望がまとまった時点で大改造した」のだという。この理由として、「コスト的な問題もあるが、インターフェイスの改造は慎重にしなければ改悪される可能性もある。3年間従業員に我慢してもらったおかげで、ワークフローが固まり、『どう改造したら一番使いやすいか?』といった研究もできたためだ」と説明している。

スピードを重視し、開発率60%の段階でも“使い始める”と判断

情報システム・カスタマーサービス担当取締役 杉山 正二氏 情報システム・カスタマーサービス担当取締役 杉山 正二氏

 前述のようにRSコンポーネンツは、1999年にERPの「PeopleSoft

EnterpriseOne」とCRMの「PIVOTAL」を導入し、2001年2月にSCMの「Manugistics」、2002年6月にBIとして「SAS」、2002年4月にWebシステムとして「BroadVision」を次々と導入している。バージョンアップもすでに2回実施しているという。

 このように、ある程度時間を置いて機能拡張していった意図について、杉山氏は「まず最初にきちんとシステム設計がしてあれば、後付けは何の問題もない。当社は、システム導入にスピードを重視する。開発率60%の段階でも“使い始める”と判断している」と語っている。また、最も苦労した点については「やはり英国本社の意向との兼ね合いを取ることが一番大変だった」と述べている。

 現在のシステムでも1日2000〜3000件程度であれば、まったく問題なく稼働できるという。同社が苦慮しているのは、需要予測の数十倍といった『予測不可能に近い突然の受注』だという。また、特需にも対応し切れていない。現在のところ、このようなケースが発生しない限り在庫が足りなくなるケースもなく、安定してサービスを提供できている。そこで今後は、「いかにこのような予測が難しいケースにも迅速に対応するかだ」と杉山氏は語っている。

 連携面では2001年より富士通の購買部門システムとつながっており、同社の研究・開発用に関する注文をダイレクトに受注できるようになっている。そのほか、4社ともXMLで連携している。今後は、サプライヤとの連携も進めていくという。最後に杉山氏は、「当社のビジネスモデルとして、初期段階におけるシステム投資は大きいが、現在のシステム構成になったことによって今年はシステム投資が売り上げの7〜8%に下がった。来年は5〜6%にしたい」と語った。

 

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