日本ヒューレット・パッカードは1月29日、ノート型とデスクトップ型のシンクライアント4機種を発表した。情報漏えい対策や運用管理の一元化の流れを受けてシンクライアントは追い風が続いている。日本HPの執行役員 パーソナルシステムズ事業統括 マーケティング統括本部 統括本部長の松本光吉氏は「個人的には2010年にはビジネスPCの1割はシンクライアントなっていると思う」と話した。
発表したのは、A4ノート型で、無線LANやドッキングステーションに対応する「HP Compaq 6720t Mobile Thin Client」(10万4790円)と、デスクトップ型で高いパフォーマンスを持つ「HP Compaq t5730 Thin Client」(6万900円)、機能を絞って画面転送のクライアントとして利用する低価格モデル「HP Compaq t5135 Thin Client」(3万450円)、4画面表示が可能なワークステーションモデル「HP dc73 Blade Workstation Client」(13万4400円)の4機種。
ノート型の6720tとデスクトップ型のt5730は1GBのフラッシュメモリを搭載し、ブレードPCによる画面転送のほかにローカルでアプリケーションを起動できる。OSは6720tとt5730がWindows XP Embedded。 t5135とdc73はそれぞれ別のLinuxベースのOSを採用し、Microsoft RDPやシトリックスのICA、HPのRemote Graphics ソフトウェア(RGS、t5135は非対応)による画面転送を受信するクライアントアプリケーションが稼働する。
t5135には事前に設定したブレードPCがダウンしている場合に、別のブレードPCに順に接続しにいくセッションの切り替え機能や、起動時に設定ファイルをサーバから自動で読み込むNetworkモードに対応する。
HPはシンクライアントのソリューションとして、シンクライアントと対になるサーバブレードを用意する「ブレードPC方式」と、クライアントPC環境を仮想化してサーバ上で管理する「仮想PC方式」、Citrix Presentation Serverを使ってサーバ上でアプリケーションを稼働し、その画面イメージをシンクライアントに配信する「サーバ・ベース方式」の3つを用意。成長率ではブレードPC方式が高いといい、松本氏は「ブレードPCは年ごとに倍、倍で伸びている」と話した。HPはB5タイプのノート型シンクライアントも近く発表する予定。シンクライアントのタイプを増やし、成長市場での獲得を目指す。
HPは同日、日本通運が、海運事業部内で使う2700台のPCをシンクライアントに置き換えると発表した。2006年度からリプレースをはじめ、 2008年度に完了する予定。2700台の導入は国内最大規模になるという。松本氏は「運用コスト、トータルコストの削減が目的」と日本通運の狙いを説明。一般的に、シンクライアントを導入することで「3年間の運用コストは通常のPCと比べて半減する」と話した。
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