富士通、AES-256対応の高速HDD発売へ専用回路設計で高速処理を実現

» 2008年04月21日 00時00分 公開
[西村賢,@IT]

 富士通は4月21日、AES 256ビットの暗号化方式に対応した2.5型320GBハードディスク「MHZ2 CJ」シリーズを発表した。5月末からOEMで各社に提供する。価格は個別見積もり。

 同社が暗号化対応ハードディスクを発売するのはこれが初めて。これまで他社製品ではトリプルDESやAES 128ビット対応のハードディスクはあったが「そろそろ256ビットが欲しいという業界の声に応えた」(ストレージプロダクト事業本部 磁気ディスク事業部 事業部長代理 柳茂知氏)という。

AES 256ビットの暗号化方式に対応した2.5型ハードディスク「MHZ2 CJ」シリーズ

 シリアルATA 3.0Gbps対応、7200回転/分の高速タイプ。高速なAES処理エンジンをドライブ上に自社開発チップで搭載することで暗号処理なしの場合と変わらない高速さを実現したという。ソフトウェアを使ってCPUで暗号処理した場合と比較すると、「総合テストのようなランダムアクセスで1.8倍、シーケルンシャルアクセスで5倍程度の速度差が付く」(柳氏)という。消費電力についても「実測で0.015ワット程度」(同)で既存のノートPCの消費電力や熱設計の変更が不要なことも特徴だという。

富士通 ストレージプロダクト事業本部 磁気ディスク事業部 事業部長代理 柳茂知氏

 BIOSで設定するパスワードを起動時に入力するため、利用できるOSを選ばない。256ビットの暗号鍵はドライブ装置内に保存される。保存方法や保存場所は非公開。

 従来、ハードディスクの棄却時には専用のデータ消去ソフトウェアを使ってデータを消去する必要があった。消し残しをなくすために複数回の上書きが必要で、この作業には数時間かかっていた。暗号化したハードディスクでは、暗号鍵を変更するだけでデータの復号化ができなくなるため、こうした作業が不要になるという運用上のメリットがあるという。

 日本ネットワークセキュリティ協会によれば、2006年の情報漏えいの公表件数は993件。うち約10.7%がPC本体の盗難や紛失によるもの。高まる情報漏えい防止策として同社はMHZ2 CJシリーズのラインアップを拡充していきたい考えだ。

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