コグノス、メモリ上動作で処理スピードを大幅向上させた分析ソフトBIソフト最新版「Cognos 8 v4」と「Cognos TM1」をリリース

» 2008年10月31日 00時00分 公開
[大津心,@IT]

 コグノスは10月31日、ビジネスインテリジェンス(BI)製品の最新版「IBM Cognos 8 v4」(以下、Cognos 8 v4)とビジネス分析ソフトの新製品「IBM Cognos TM1」(以下、Cognos TM1)を12月初旬より販売開始すると発表した。コグノスは2007年11月に米IBMに50億ドルで買収されており、IBMが提唱している「Information on Demand」戦略の一部に組み込まれている。

コグノスがIBMのInformation on Demandを補完

三浦氏写真 日本IBM 専務執行役員 ソフトウェア事業担当 三浦浩氏

 日本IBM 専務執行役員 ソフトウェア事業担当の三浦浩氏は、「日本IBMのソフトウェア事業施策は、お客さまのイノベーション実現を支援するために高付加価値ソリューションを提供していくことだ。重点領域としては、『SOA』や『業界ごとにソリューションを提供』『イノベーションを加速する5分野のソリューションを推進』などが挙げられる」とコメントした。

 同社が推進する「Information on Demand」とは、必要なアプリケーションが必要に応じて必要なデータにアクセスできるIT基盤のビジョン。その実現のためには、情報の管理→情報の統合→情報の分析、というデータの流れが必要だが、IBMに不足していた部分である情報分析をコグノスを買収することで補完したという。三浦氏は「コグノスを買収したことによってInformation on Demandを一通り完結させることができた。コグノスへの期待は買収にIBM過去最大の50億ドルを投じていることからも分かるだろう。期待に応えて、コグノスを含むInformation Management分野の売り上げはQ1には27%増、Q2は30%増、Q3は26%増と好調だ」と説明した。

BIベンダからパフォーマンス文化を支援するためのベンダへ

細井氏写真 コグノス 代表取締役社長 細井一雄氏

 一方、買収されたコグノスは、「IBMとの経営統合を機に『BIベンダ』から『パフォーマンス文化を支援するためのベンダ』へ転身を図る」と、コグノス 代表取締役社長 細井一雄氏はいう。ここでいうパフォーマンス文化とは「KPIと客観的データに基づくビジネスの評価軸を持ったうえで意思決定していく考え方」(細井氏)だとした。具体的には、パフォーマンス文化を定着させるために、分かりやすいダッシュボード製品である「Cognos 8 v4」や、オンメモリのプランニング・シミュレーションツールである「Cognos TM1」を提供するとした。

 Cognos 8 v4は、コグノスが提供するBIツールの最新版。IBM買収後、最初のバージョンということでIBMの情報統合ソリューション「InfoSphere」との機能連携を強化した点が特徴だ。例えば、企業向けデータウェアハウス「IBM InfoSphere Warehouse」や統合データ管理ソフトウェア「IBM InfoSphere Data Architect」、ネーミング標準化機能「IBM InfoSphere Business Glossary」などとの連携を実現した。

 Cognos 8 v4で追加された特徴的な機能には、「データリネージ(系統管理)」や「IBM Cognos 8 Go! Dashboard」がある。データリネージ機能とは、レポートに使用されたデータの出典を確認できるというもの。「この機能によって、InfoSphereのデータウェアハウスからCognos 8 v4で作成したBIレポートまで一貫性と信頼性をもって提供することができるようになった」(細井氏)と説明した。

 Cognos 8 Go! Dashboardは、セルフサービス型のダッシュボード作成機能。例えば、経営者がシステム部門に依頼することなく、月別の売上データや収支データ、経費データなどをドラッグ&ドロップするだけで自由に作り変えることができるダイナミックなダッシュボードだ。

64ビットメモリ上で動作することで処理スピードを大幅に向上させた

 Cognos TM1は、新製品となるビジネス分析ソフトウェア。64ビットインメモリ型OLAPサーバとして利用することで、大量データを高速に分析できる点が最大の特徴だ。「メモリ上で処理するため、非常に高速な反応が可能となった。特許を取得しているため、少なくとも日本初だ。処理が早いためシミュレーションや計画系の処理を繰り返し行うのに向いている」(細野氏)という。

 モジュールには、Excelをインターフェイスとして利用できる「TM1 Excel」や、Webブラウザをインターフェイスにできる「TM1 Web」を用意。細野氏によると「慣れ親しんだExcelやWebブラウザをインターフェイスとして利用できる点は大きい。それだけで、かなり操作性が向上しているはずだ」とコメントした。

 細野氏は、「Cognos TM1によって、企業内に存在する膨大な経営情報から、高速にリアルタイム分析が可能になる。高速であるため、予算作成から計画立案、予測などをストレスなく繰り返し行える点が特徴だ。これにより、企業のパフォーマンスマネジメントを強化できるはずだ」と強調した。

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