米ガートナーは3月11日、世界のスマートフォン市場についての調査結果を発表した。2008年は世界で1億3900万台のスマートフォンが出荷され、前年比で13.9%の増加。その中でもアップルのiPhoneは日本を含む世界で新製品が発売されたこともあり、245%と大きな成長となった。
景気後退や魅力的な新製品が出なかったことで2008年第4四半期のスマートフォン全体では、前年同期比で3.7%と微増。これまでの成長がスローダウンした形だ。2009年も高い成長を維持するのは難しいと見られる。
ベンダ別ではノキアの退潮とアップルの躍進が目立つ。2008年、ノキアは6092万台のスマートフォンを世界で販売し、トップシェアを維持した。しかし、2007年と比べるとわずか0.8%の伸びにとどまり、市場シェアは49.4%から43.7%に低下した。特に2008年第4四半期は前年同期比マイナス16.8%と大きく凹んだ。ガートナーはノキアについて、「エントリレベルのスマートフォンの品揃えは引き続き収益を生み出しているが、ハイエンドなスマートフォンでは競合他社からますますプレッシャーを受けている」と指摘している。
アップルは2007年には330万台の出荷だったが2008年は1141万台を出荷し、大躍進した。市場シェアは2.7%から8.2%に伸ばした。2008年第4四半期だけを見るとシェアは10.7%と2桁台に乗せた。ガートナーは「アップルの出荷は第4四半期に落ち込んだが、それでもベンダシェアで3番目を維持している」としている。アップルの2008年の成長率は245.7%で他社を圧倒するが、BlackBerryを販売するResearch In Motion(RIM)は96.7%増、HTCが58.5%増などと他社も健闘している。
出典:ガートナー |
スマートフォンのOS別シェアでもノキアが推すSymbianが6.1%のマイナス。ノキア端末の不調に加えて、Symbianを搭載することが多い日本市場が低成長で「Symbianのシェアにネガティブな影響を与えた」とガートナーは指摘している。ほかのOSではWindows Mobileが12.2%の成長ながら、シェアを12.0%から11.8%に減少させた。Linuxはマイナス4.2%で、シェアは9.6%から8.1%に減少。Palm OSは42.2%の成長だった。Linuxは年間ではマイナス成長だったが、2008年第4四半期に限ると19.4%の成長。グーグルが中心となって開発したAndroidを搭載したスマートフォンが発売されたことがプラスの影響を与えたようだ。
出典:ガートナー |
地域別では北米の伸びが目立つ。北米におけるスマートフォンの出荷は2008年に69%の増加。2008年の携帯電話全体の出荷に占めるスマートフォンの割合は約20%となった。世界全体の携帯電話出荷(2008年第4四半期)に占めるスマートフォンの割合は12%で、前年同期から1ポイント増えた。アジア太平洋地域のスマートフォン出荷は2.3%増だった。
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