Twitterで燃え上がるモルドバ抗議運動「Twitter革命」との声も

» 2009年04月09日 00時00分 公開
[垣内郁栄,@IT]

 Twitterの検索ページを利用しているユーザーは今週、多く検索されたキーワードを示す「Trending topics」に「#pman」と表示されているのに気が付いたかもしれない。これは旧ソ連のモルドバで起きている抗議運動に関連付けられたHashtagsだ。モルドバではいま、ソーシャルサービスを利用した抗議運動が広がっている。気の早い欧米メディアはこの運動を「Twitter革命」と命名した。

 モルドバでは4月5日に議会選挙があり、共産党が勝利。しかし、野党支持者は選挙の不正を指摘している。7日以降、首都キシニョフの大統領府や議会では大規模な抗議運動が発生、負傷者も出ているようだ(Googleニュースの検索結果)。このような状況を世界に知ってもらおうとモルドバのインターネットユーザーなどが、#pmanタグを付けてメッセージを投稿し始めたのが7日。Hashtagsを検索できる「#hashtags」によると、7日には#pman付きのポストが830件あり、8日には1672件の投稿があった。#pmanはキシニョフの中央広場「Piata Marii Adunari Nationale」の略だという。

「#hashtags」の「#pman」検索結果。4月7日からポストが急増している

 Twitter Searchで#pmanを検索すると、モルドバ国内をはじめ、周辺国などから多数のポストがあり、数秒おきに検索結果が追加されている。重要な情報はReTweet(再投稿)されて多くの人に広がっている。また、Facebookにも抗議運動の情報が多く掲載されているようだ。ただ、報道によるとキシニョフでは携帯電話の利用が制限され、Facebookなどのソーシャルサービスもモルドバの主要ISPによってフィルタリングされている可能性があるようだ。

モルドバのユーザーがFacebookに投稿した抗議運動関連の写真

 モルドバ在住のMihai Moscovici氏はTwitterブログで積極的に情報発信をしている。もちろん、#pmanタグ付きだ。NYTimes.comの記事によると、7日だけで200人以上の新たなTwitterフォロワーを得たという。現在、Moscovici氏のフォロワーは500人に迫りつつある。#pmanタグ付きの発言はルーマニア語でのポストが多いが、Moscovici氏は英語で情報を発信している。

Moscovici氏のTwitterポストの1つ

 政府への抗議運動にTwitterが活用される例はモルドバが初めてではない。2008年12月のギリシャの暴動では、「#griots」のタグで情報がやりとりされた。大きなイベントや災害、大事故の際などにTwitterが情報の一次ソースとして価値を持つことはこれまでも数多く指摘されてきたが、人々の行動の組織化にも役立つことが分かった格好だ。「Twitter革命」は少し大げさだが、タグを起点に不特定多数の人が緩やかに結びつき、情報を共有するコミュニケーション手段としてTwitterへの注目はさらに高まるだろう。

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