日立、「運用管理は“柔軟かつスマート”に」運用管理製品の最新版「JP1 Version9」を発表

» 2009年06月02日 00時00分 公開
[内野宏信,@IT]

 日立製作所は6月2日、総合システム運用管理製品「JP1 Version9」を発表した。「エージェントレス監視」機能により、各サーバに監視ツールをインストールすることなくリソースの使用状況を把握可能としたほか、ジョブ管理製品の刷新によって業務進捗のリアルタイムでの把握などを実現した。これにより、「業務とIT、双方の観点から運用効率化を支援するとともに、全体最適化に向けて大規模化・複雑化しつつあるシステムの、フレキシブル&スマートな運用を実現する」(日立製作所 ソフトウェア事業部 システム管理ソフトウェア本部長の石井武夫氏)という。

 年々激化する企業間競争に、未曾有の不況が重なっている昨今、多くの企業が効率化によるコスト削減に乗り出している。特にシステム面では、これまで一般的だった各部門、各拠点などの単位でシステムを構築・運用する“個別最適”から、全社的観点でシステムを統合・集約する“全体最適”のスタイルに移行しつつある。

 これに伴い、システムの大規模化、複雑化も加速。「真の効率化を狙うためには、システムの規模や複雑性に左右されない、柔軟かつスマートな運用体制が不可欠になる」と見込まれている。

写真 業務とIT、双方の観点から運用管理を支援し“真の全体最適”を実現するという。

 こうした状況を受けて、日立製作所は JP1 Version9のコンセプトとして「Flexible&Smart」を標榜。“柔軟かつ手間なくスマートな”運用管理業務を実現する各種製品を用意した。

 中でもメインとなる製品の1つが、ITリソースの使用状況を正確に把握する「JP1/Performance Management──Remote Monitor」。従来は監視対象となる各サーバにエージェントをインストールする必要があり、いったんシステムを停止させる必要があったが、今回からエージェントを使うことなく監視可能とした。既存システムに手を加えたり、停止させたりする必要がない分、リソース集約化のためのプランニングをより行いやすくなるという。

写真 今回のバージョンアップで加わった新機能

 一方、統合管理製品「JP1/Integrated Management」では、仮想化ソフトウェアから物理サーバと仮想マシンの構成情報を取得可能とした。物理サーバと仮想マシンの使用状況を一元的に把握可能としたことで、適切なリソース配分に寄与するという。また、構成管理機能に加え、構成に変更があると変更内容を検知し、監視画面に自動的に反映する機能も年内に追加する予定だ。

 3つ目はジョブ管理製品の「JP1/Automatic Job Management System 3」。全体最適化に向けて業務処理を集約すると、「受注量の突発的な増加によって、受注処理業務が遅れたことを受けて、集計処理業務も遅延する」といった具合に、1つの業務がほかの業務の進捗に影響を及ぼす可能性も出てくる。よって、深刻な遅延が生じないよう、各業務処理も常に現状を監視、把握することが不可欠となる。

 そこでJP1/Automatic Job Management System 3では「サマリー監視画面」を用意。各種業務の中でも重要な業務のみをピックアップして、その進捗状況を示す機能を装備した。業務終了予定時刻も表示できるため、業務の優先順位付けにも役立つという。

 また、業務管理者、システム運用管理者など、ユーザーの役割に応じた監視画面を提供することで、それぞれが自分の担当範囲の管理業務に集中できるように配慮した。さらに、業務の追加・変更が発生した際も、業務を止めることなく、変更内容を入力・反映可能とし、運用効率の向上を狙ったという。

写真 日立製作所 ソフトウェア事業部 事業部長の坂上秀昭氏

 価格は、OSやプラットフォームの稼働状況を監視する「JP1/Performance Management──Remote Monitor for platform」と、Oracle Database監視用の「JP1/Performance Management──Remote Monitor for Oracle」が38万8500円、「JP1/Integrated Management──Manager」が50万4000円、「JP1/Automatic Job Management System 3──Manager」が39万9000円(すべて税込み)。このほか、6つの新製品を用意しており、それぞれ発売は6月3日から、出荷時期は7月31日としている。

 日立製作所 ソフトウェア事業部 事業部長の坂上秀昭氏は、「JP1は15年に渡って運用管理製品市場をリードしてきた製品。バージョン9についても大規模化、複雑化しつつあるシステムの運用管理業務の負荷を大幅に軽減できると確信している。運用管理製品市場で30%以上のシェア獲得を目指したい」と話している。

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