SAPジャパンは2月3日、企業の「サステナビリティ(環境維持への取り組み)」に関する情報の公開作業をサポートする「SAP BusinessObjects Sustainability Performance Management」(以下、SPM)の提供を開始すると発表した。
ここ数年、環境問題への意識の高まりとともに、欧米企業を中心として通常の財務報告書とともに「サステナビリティ(環境維持への取り組み)レポート」を公開する企業が増えている。また、企業がサステナビリティレポートを作成するためのガイドラインを作成している非営利団体「GRI(Global Reporting Initiatives)」も存在し、現在ワールドワイドで1226社、日本では79社がGRI準拠のサステナビリティレポートを発行しているという。
SAP自身もサステナビリティへの取り組みを強化しており、「2020年までに二酸化炭素排出量を2000年レベルまで削減する」と発表している。実際、2009年の同社の二酸化炭素排出量は425キロトンで、前年の505キロトンから16%削減できたという。
SAPジャパン バイスプレジデント インダストリー戦略本部 兼 バリューエンジニアリング本部 本部長 脇阪順雄氏は、「昨今は、いくら財務状態が良くても、CSRやサステナビリティがしっかりしていなければ投資対象として評価されないことが多い。日本企業は昔から環境対策を重視している企業が多いが、アピールが下手で、せっかくいろいろと環境対策を行っているのにそれが伝わっていない企業が多く、非常に損をしている。日本独自の文化もあるが、世界ではきちんとアピールしなければ評価してもらえない。BRIなど標準的なKPIに基づいたレポートを提出して、せっかく実施している対策を正当に評価してもらうべきだ」と説明した。
SPMは、自社のサステナビリティに関するKPIを共有・管理し、社内外に公開するのをサポートするソリューション。サステナビリティレポートを作成するためには、まず適切なKPIを設定して、そのKPIに必要なデータを社内から収集し、それをまとめたうえで公開する必要がある。例えば、各事業所の水道利用料という項目であれば、世界各国の事業所から水道利用料金がシステムに登録されていれば自動的に収集できるが、システムに入力されていなければ、当該事業所に連絡して聞き出す作業が必要になる。
「現実には、このデータ収集作業が非常に大変だ。多くの場合、データはシステム上に存在せず、事務局が現場とコミュニケーションしなければならない。これを効率化することが非常に重要なポイントとなる」(脇阪氏)とした。
KPIに関しては、GRIなどが定める100種類以上のKPIライブラリを用意。GRIからは「認定ソフトウェアおよびツール・プログラム」の認定を受けているという。データ収集サポートでは、前述のコミュニケーションサポート機能のほか、SAP各種システムから自動的に収集できるほか、ほかのシステムからの取り込みも可能だとしている。
脇阪氏は、「日本でも製造業など、ワールドワイドで活動している企業を中心にサステナビリティレポートへの関心が高まっている。まずはこのような企業を中心に、3年間で40社程度に導入していきたい」と抱負を語った。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.