オラクル、データベースに直接負荷を掛けられるテストツール負荷テストの準備期間も数週間から半日に短縮

» 2011年01月28日 00時00分 公開
[大津心,@IT]

 日本オラクルは1月27日、報道関係者向けに同社の品質管理ソリューションについての説明会を実施。同社のアプリケーションテストツール「Oracle Application Testing Suite 9.2」(以下、ATS 9.2)などについて、米オラクル プロダクトマネジメント ディレクター ダン・コロスキ(Dan Koloski)氏が説明した。

コロスキ氏写真 米オラクル プロダクトマネジメント ディレクター ダン・コロスキ氏

 オラクルは、2008年に米エンピレックスを買収。エンピレックスが持っていたWebアプリケーションテストツール「e-Test Suite」をオラクル製品に統合・発展させたATS 9.2を2010年11月にリリースした。同社ではATS 9.2を加えたことで、データベーステストツール「Oracle Real Application Testing」、テストデータ管理ツール「Data Masking Pack」、アプリケーションテストツール「Application Testing Suite」の3製品でアプリケーションの品質管理を行う戦略だ。

 コロスキ氏は、「オラクルは、テストツールを品質管理ソリューションの一環として考えている。システムのボトルネックを発見し、改善するために重要な手法だ。3製品によって、今まで別々に行っていたデータベースからミドルウェア、アプリケーションに至るまでのテストを一貫して行える。これは非常に工数削減効果が見込める」と説明した。

 Real Application Testingはデータベースの変更テストツールで、SQLの反応時間を測る「SQL Performance Analyzer」や、本番と同じワークロードを利用した負荷テストを実施できる「Database Reply」などを搭載している。「『本番と同じ環境で、本番と同じデータを使って負荷テストしたい』というニーズは以前から強くある。この製品は、データベース内にテスト環境を構築しているため、本番ワークロードを使った負荷テストを実現した。より本番に近いテスト結果を提供できる」(コロスキ氏)。

 Data Masking Packは、機密データをマスキングすることでセキュアな状態でのテストを実現するツール。このツールを用いることで、機密性の高い実データを用いたテストにおいても、漏えいリスクを抑えることができる。コロスキ氏は、「テストは実データを使うべきだが、セキュリティが懸念となる。テスト用にダミーデータを用意する時間も削減できる。このツールを利用することで、セキュリティの向上と時間の削減が期待できる」とコメントした。

 ATSは、アプリケーションの品質やパフォーマンスをテストするためのテストツール。Webアプリケーション負荷テスト用の「Oralce Load Testing」、機能テストを自動的に行う「Oracle Functional Testing」、テストプロセスを管理する「Oracle Test Manager」の3つで構成される。最新バージョンの9.2ではOracle Load Testingに、新たにOracle Database専用のアクセラレータ「Oracle Load Testing Accelerator for Database」(LTAD)が搭載された。

 LTADは、直接Oracle Databaseに対する負荷テストができるツール。外部からデータベースに負荷をかけるのではなく、データベースのカーネルに直接負荷を掛けることで、より正確で緻密なテスト結果を得ることができるという。OpenScriptを使用してSQLを記述したテストスクリプトを作成できる。また、RATのDatabase Replayのキャプチャデータからもスクリプトを作成可能。機能テストを実施するReal Application Testingと組み合わせて利用することで、機能テストと負荷テストの双方を自動的にできるようになった。

 OpenScriptは、Eclipse IDEに統合されたスクリプト作成環境で、GUIによるツリービューインターフェイスとJavaコードビューインターフェイスを切り替えてスクリプト作成が可能となっている。

 日本オラクル テクノロジー製品事業統括本部 アライアンス技術本部 シニアエンジニア 柴田長氏は、「当社のテスト施設Oracle GRID Centerでは、ユーザーから『リアルな負荷を掛けたい』というニーズが強く挙がっていた。その点、ATSのように実データを用いてテストできる環境は喜ばれている。また、複雑な負荷を生成し、より現実に近いテストが行える点も大きい。Oracle GRID Centerでは、ATSのリリースによって、負荷テストツールの準備期間を数週間から半日に、分析結果のまとめやグラフ化を1週間から1日に短縮できた」と報告した。

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