部門間・企業間の意思疎通は、データの定義統一から日本データマネジメント・コンソーシアムが設立

» 2011年04月18日 00時00分 公開
[内野宏信,@IT]

 ITベンダ各社とユーザー企業で構成する日本データマネジメント・コンソーシアムは4月18日、本日付けで設立を発表した。現在、企業では各種業務データを部門単位で定義・管理している例が多く、これが部門間、企業間の意思疎通の障害となっていたり、全社的な意思決定の遅れ、ミスを招く原因にもなっている。同コンソーシアムではこの問題を重視し、データマネジメントの方法論やメリットなどを啓蒙していくという。

 近年、「ユーザー自身でBIを使って日々の営業実績を分析する」など、業務データの有効活用が注目されている。しかし、真にデータを有効活用するためには、各データをシステマティックに生成・管理し、データの精度や鮮度、品質を維持する全社的な体制が不可欠となる。だが現在、多くの企業において、各種業務データは部門単位でしか管理できていない。

 例えば「利益」などのデータ項目一つ取っても、部門によって定義が異なっている場合が多い。これでは部門間の正確な意思疎通ができないほか、意思決定のミスも招いてしまう。取引先との間も同様だ。一つのメーカーから、複数のサプライヤを通じて同一の製品を仕入れている場合、各サプライヤとデータの定義・管理方法を共有できていないために、同一製品でありながら、サプライヤによって伝票に記載するデータ項目や表記方法が異なっていたりする。結果、メーカー、バイヤーにおける販売・仕入れ業務、実績管理などは煩雑になり、効率悪化や連絡ミスなどが生じやすくなる。

写真 データの生成から廃棄まで、一定のルールに基づいてデータライフサイクルを管理するデータマネジメントが、あらゆる企業活動や効率化策の基盤となる

 同コンソーシアムの理事を務めるNTTデータなどのベンダ各社と、カシオ計算機、大成ロテックなどのユーザー企業の代表者らは、約1年前からこうした現状について協議を開始。特に“情報の爆発”と言われるほど企業データが増大しているいま、データマネジメントが一層その重要性を増しつつあることから、今回の設立に踏み切ったという。

 今後は、企業・組織におけるデータの適正な処理・活用方法や、データマネジメントを実施するための組織・体制整備方法の研究・提案を行う。また、データマネジメントを推進できる人材育成にも乗り出すほか、ベンダ各社が提供しているデータマネジメント関連製品・サービスについて、中立的な視点からその利用価値を評価していくという。

 同コンソーシアム会長を務めるNTTデータ 相談役の浜口友一氏は、「多くの企業では、会社内でも各種データを正規化できておらず、データを有効活用できていない例が多い。コードが統一されていないため、システム間のデータ連携がスムーズに進まないケースも少なくない。これらは課題として認識されてはいたが、体系立ったノウハウがないなど、そもそもデータマネジメントを進めるための“環境”が整っていなかった。行政機関とも協業しながら、そのノウハウを広く啓蒙してきたい」と述べた。

 なお、データマネジメントの現状について同様の見解を持つ、JUAS(日本情報システムユーザー協会)やDAMA(データマネジメント協会 インターナショナル日本支部)などと連携した活動も検討中。当面はベンダ、ユーザー企業それぞれ50社の会員社獲得を目指すという。

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