パラソフト・ジャパンは10月24日、「Parasoft Virtualize 9.2」を販売開始すると発表した。外部から見えるシステムの動作を自動的にエミュレートする仮想環境構築・管理製品で、ソフトウェアテストやオペレータ教育に大きく貢献するという。
市場環境変化が激しい昨今、クラウドサービスの浸透も受けて、システム開発には一層のスピードと柔軟性が求められている。しかし、いかに短期間で開発できても、リリース後に問題が頻発するようでは信頼失墜や機会損失につながりかねない。この点で、システムテストの効率性・確実性の向上が、開発の品質・スピードを両立するための大きな課題となっている。
今回、パラソフト・ジャパンがリリースしたParasoft Virtualize 9.2は、そうした状況を見据えた製品。従来、手作業で行っていたエミュレータを自動生成し、開発の品質・効率向上に寄与するという。
特徴は大きく4つ。1つは、「外部から見えるシステムの動作を自動的にエミュレートする」仕組みとしたこと。これにより、稼働中のシステムについては、通信ログやリアルタイムモニターからエミュレータを自動生成できるという。
2つ目は複数のシステムが連携したハイブリッド環境もエミュレートし、その仮想環境をカタログ化できること。カタログ作成では、システム全体のアーキテクチャを定義し、実機/仮想アセット/仮想マシンといった各構成要素を任意に切り替えることも可能。また、カタログ化した仮想環境を自動的かつスピーディに展開・セットアップできる点で、テスト環境の迅速な配備に寄与する。
3つ目はプロトコル定義ファイルからエミュレータを生成する仕組みを採用したこと。これにより、まだ完成していないシステムについてもエミュレータの生成を可能とした。そして4つ目は、エミュレータをクラウド上にも構築可能とし、PaaSやIaaSを使ったクラウド環境上でのシステム構築においても、システムテストまで含めてクラウド内で完結する開発を実現することだ。
これらにより、本番システムと同様のテスト環境を迅速に用意し、開発・テストの効率・確実性を大きく向上させるという。例えば、総合テスト以降に必要な、あらゆるシステムを仮想化、カタログ化できるため、アウトソース先にもテスト環境を迅速・スピーディに提供できる。従って、近年盛んなオフショア開発でも、ソフトウェアの品質をより確実に担保できるという。
また、まだ完成していないシステムについてもエミュレータを作れるため、チームごとに進ちょくに差が生じがちなチーム開発プロジェクトにおいても、先行したチームが遅延したチームを待つ必要がなくなる。加えて、「外部から見えるシステムの動作を自動的にエミュレートする」ため、メインフレームやERPのエミュレータ作成も可能に。
取引先など自社システムと連携している社外システムのエミュレーションもできるため、本番さながらの環境であらゆるシチュエーションに基づいたテストが可能になるほか、エミュレートした仮想環境をシステムのオペレータ教育に使えば、新サービスをより品質の高い状態で提供することも狙えるという。
同社代表取締役社長の野田勝彦氏は、「ビジネス展開のスピードアップのために、システム構築にも一層のスピードが求められているが、同時にシステムとサービスの品質も確実に担保できなければ、短納期化の意義が半減してしまう。その点、本製品は本番さながらのテスト環境、教育環境を迅速に提供できる点で大きなニーズがあると思う。今後は技術力のあるパートナーの拡大に注力し、より多くの企業に提供できる基盤を整えていきたい」と話している。
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