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» 2012年03月27日 12時00分 公開

レポート ハイブリッド環境運用セミナー:ハイブリッド時代の「業務を止めない」運用管理 (1/2)

@IT情報マネジメント編集部では2012年2月24日、東京・秋葉原の富士ソフト アキバプラザで「第14回 @IT情報マネジメントカンファレンス 〜システムは異常なし、ビジネスには異常ありでは意味がない〜 ハイブリッド時代の『業務を止めない運用管理』」を開催した。ここではその要点をレポートする。

[唐沢正和(取材/文), @IT情報マネジメント編集部(構成) ,@IT]

 仮想化技術やクラウドサービスの浸透を受けて、企業のIT基盤が複雑化している。これに伴い運用管理の手間とコストが増大し、仮想化・クラウドのコストメリットを享受できない問題が多くの企業を悩ませている。従来のように、自社のIT資産を個別に管理するスタイルでは、一定のサービスレベルを維持し、安定的な運用を担保することが難しくなっているのだ。

 ではこうした中、どうすればビジネスの遂行=システムの安定稼働を担保できるのか? 運用効率を高めながら、ビジネスの観点、エンドユーザーの観点でシステム総体としてのアウトプットを一定レベルに担保するためには、具体的にどうすれば良いのか???@IT情報マネジメント編集部では、そうした問題意識に基づいて本企画を立案。仮想化、クラウドが混在するハイブリッド時代の運用管理のポイントについて、アナリストやベンダ、ユーザー企業、それぞれの立場から考えを解説してもらった。

 ここでは、カンファレンスで紹介された数多くの知見を、より多くの企業にご活用いただけるよう、その内容を要約してお伝えしたい。

ハイブリッド時代におけるIT運用管理で備えるべきこと

 基調講演には、IDC Japan ソフトウェア&セキュリティ シニアマーケットアナリストの入谷光浩氏が登壇。ハイブリッドクラウドへと急速にシフトしつつあるIT基盤を、いかにシンプルに運用するか、どのようにビジネスのメリットに結び付けていくべきか、昨今の市場/技術動向を踏まえながら講演を行った。

 まず、入谷氏は国内IT市場の現状について説明。「2011年の日本経済は、東日本大震災や超円高、タイの洪水などにより大きく落ち込んだが、2012年は回復が見込まれる。これを受けて、IT支出の成長率も2011年の1.6%減から、2012年は2.8%増と、プラスに転じる見通しだ。企業が抱えるIT課題としては『ITコストの削減』に続いて『セキュリティ/リスク管理の強化』が2位に急上昇。また、ITコストの内訳を見ると『運用/保守』が31%を占め、過去3年間で運用管理負担は増加傾向にある」という。

IDC Japan ソフトウェア&セキュリティ シニアマーケットアナリスト 入谷光浩氏 IDC Japan
ソフトウェア&セキュリティ シニアマーケットアナリスト
入谷光浩氏

 こうした中、現在は多くの企業が仮想化技術を導入し、仮想化からプライベートクラウド構築に移行する流れも加速しつつある。さらに今後はプライベートクラウドとパブリッククラウドが混在するハイブリッドクラウドへとシフトしていくことが予想される。

 これに対して入谷氏は、「ハイブリッドクラウド時代では、企業はビジネスの速いスピード、急激な変化、多様化についていけなければ競争に勝つことは厳しい。そのため、これからの情報システム部門は、ハードウェアやソフトウェアなどシステム主導型の運用管理ではなく、『ビジネス部門に必要なサービスをいかに迅速に提供していくか』が重大な使命になる」と指摘する。

 では、ハイブリッドクラウド時代に向けて、情報システム部門の運用管理はどう変革していけば良いのだろうか? 入谷氏は(1)統合基盤管理(2)自動化(3)サービス管理(4)エンドツーエンド(E2E)パフォーマンス管理(5)メータリング??という5つのステップがハイブリッドクラウドに最適化した運用管理への道のりであると説く。

 一方で、「これら5つのステップを完全に実施するのは簡単ではないことも事実。まずは、ハイブリッドクラウド時代に向けて、情報システム部門が『企業内のサービスプロバイダの役割を果たしていく』という意識を持つことが重要だ」との考えを示した。

 最後に、ハイブリッドクラウド環境の運用管理のポイントとして、「迅速・柔軟なサービス配備を支えるシステムについて、運用管理の複雑性を簡素化するために然るべきソフトウェアを活用すること」「サービスを利用するエンドユーザーのパフォーマンスや満足度の向上を最終目標とすること」「運用部門と開発部門、さらにはビジネス部門が協調し、中長期的な視点で運用管理の効率化に取り組んでいく必要があること」などを提言して講演をまとめた。

サービス視点でクラウド監視をしよう!

日立製作所 ソフトウェア事業部 販売推進部 主任技師 坂川博昭氏 日立製作所
ソフトウェア事業部 販売推進部
主任技師 坂川博昭氏

 ベンダによるセッションでは、まず日立製作所 ソフトウェア事業部 販売推進部 主任技師の坂川博昭氏が登壇。同社の統合システム運用管理製品「JP1」を活用した、クラウド環境の運用管理における課題解決方法について紹介した。

 坂川氏は、クラウド環境での障害対応として、「クラウド上のシステムに障害が発生し、利用者のクレームを受けてから対処しているようではIT管理者失格」と断言。また、「監視ツールを活用し、しきい値監視をすれば良いという考えもあるが、しきい値を超えてからの対応では、障害発生を防ぐことができず、やはり利用者の不満は解消できない」と指摘する。そして、クラウド環境の運用管理製品に求められる機能として、「クラウド環境のサービス品質をユーザー視点で監視できることが重要」と訴えた。

 これに対して、日立では統合システム運用管理製品「JP1」を提供。クラウド環境での運用管理の課題解決を支援している。

 具体的には、サービスレベル管理製品「JP1/IT Service Level Management(JP1/ITSLM)」により、ユーザー視点でサービスレベルの見える化を実現。「データの傾向から通常と違う予兆をリアルタイムに検知し、障害を未然に防止する予兆検知機能を備えているのも大きな特長」としている。

 また、統合管理製品「JP1/Integrated Management(JP1/IM)」によって、「JP1/ITSLM」で検知した障害情報など、発生したあらゆるイベントをビジュアルに一元管理することが可能。さらに、ITリソース管理基盤「JP1/IT Resource Management(JP1/ITRM)」では、エージェントレスで仮想/物理混在の社内ITリソースを一括管理し、仮想環境の構成変更を容易にするという。

 「これらの『JP1』製品群を活用することで、ユーザー視点でクラウド環境の異常を未然にキャッチし、その原因究明と迅速な対処が可能になる」として、坂川氏は「JP1」のメリットを強調した。

【関連リンク:講演動画】
『サービス視点でクラウド監視!』(TechTargetジャパン)

実践的プライベートクラウド構築と運用のポイント

日本電気株式会社 ITソフトウェア事業本部 第二ITソフトウェア事業部 シニアマネージャー 山崎正史氏 日本電気株式会社
ITソフトウェア事業本部
第二ITソフトウェア事業部
シニアマネージャー 山崎正史氏

 2番目のセッションでは、日本電気(以下、NEC)ITソフトウェア事業本部 第二ITソフトウェア事業部 シニアマネージャーの山崎正史氏が、ハイブリッド時代を視野に入れ、“将来にわたって利用できるプライベートクラウドシステム”に必要な運用効率化・自動化のポイントを紹介した。

 山崎氏は、まずプライベートクラウドの現状について、「プライベートクラウド導入への環境は着実に整備されている一方で、実際の導入率は低く、当社の調査では計画中を含めても40%に達していないのが実状。このようにプライベートクラウドの導入がなかなか進まない背景には、運用効率と投資効率が見えにくいことが挙げられる」と説明。「プライベートクラウドは、導入効果が見込めるのは確実だが、実装の方法次第で運用・投資効率には大きな差が生じてくる」と、その問題点を指摘する。

 運用・投資効率の課題に対し、NECでは(1)裏付けのある機能提供により運用を効率化(2)顧客の状況に合わせて初期投資を抑えながら着実な導入を支援(3)外部サービス連携とマルチクラウド一元管理で将来性を担保??という3つのアプローチでプライベートクラウド導入を提案しているという。

 また、実際にプライベートクラウドを構築する際のキーコンポーネントとして、山崎氏はリソースプールを管理する「インフラ管理」と、リソースをサービスとして用意する「セルフサービスポータル」の2つが重要であると強調。「この2つのキーコンポーネントを容易に実現できるのが、NECの統合運用管理ソフトウェア『WebSAM』だ。インフラ管理の機能については『WebSAM vCD Automation』、セルフサービスポータルの機能としては『WebSAM Cloud Manager』を用意している。これらによって、ICTインフラのサービス利用のスピーディな立ち上げと、クラウドシステム運用の自動化・効率化をトータルに支援する」と、アピールした。

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