小寺信良
定額制音楽サービスはアリか(1/3 ページ)
先週、日本版Napsterへの楽曲提供会社が発表された。実に260社という提供会社を従え、開始当初から150万曲のラインアップをそろえるというのは、国内でも最大級のサービスとなることを予感させる。ちなみに現在音楽配信ビジネスの最大手であるAppleのiTunes Music Store(iTMS)は、現在200万曲以上をそろえているが、国内スタート時は100万曲であった。
もちろんNapsterがこれだけの楽曲をそろえられた背景には、iTMSが外資系音楽配信サービスという道を切り開いた後であるという点は大きかったはずだ。しかし単にそれだけでもなく、iTMSへの楽曲提供を渋っているソニーミュージックも名を連ねているあたり、日本の音楽配信サービスとして、いったん仕切り直しという雰囲気も感じさせる。あるいはiTMSによって排除された音楽プレーヤー群の総本山として担がれている、というのは考えすぎだろうか。
またNapsterは、日本では珍しいサブスクリプション型、つまり定額制楽曲ダウンロードサービスでもある。米国で生まれたこの発想は、日本で定着できるのだろうか。個人的に期待するところが大きいNapsterのサブスクリプションサービスについて、少し考えてみることにしよう。
ラジオ型サブスクリプション
国内企業ではないが、依然から日本でもサブスクリプション型サービスが利用できる環境はあった。Musicmatchが提供する音楽配信サービスである。
Musicmatchのプラットフォームソフトウェア「Musicmatch Jukebox」は、MP3プレーヤー/エンコーダー/楽曲管理ソフトとしてスタートした。iPodのWindows版も、発売当初はiTunesのWindows版がまだ開発されておらず、その代わりにMusicmatchが付属していたことがある。独特の使い勝手は賛否が分かれるところ、というよりも分かりにくいという声が大半であったようだが、筆者は好きでよく使っていたものだ。
Musicmatchが提供するサービスの1つが、いわゆるインターネットラジオであるMusicmatch Radioである。有料会員になれば、ジャンルや代表アーティストを設定することで、それに類する音楽がストリーミングで聞ける。つまり、音質がよくて、自分でカスタマイズできるインターネットラジオが持てる、といった感覚である。
もちろん日本からでも、クレジットカード決済が可能だった。実は筆者もこのサービスに2年ほど加入していたのだが、基本的にはラジオ形式なので、自分が今聞きたいアーティストの曲を名指しで聴けるわけではない。
それをやるためには、もう1ランク上のプレミアムコースへ変更しなければならないのだが、このサービスは日本向けには行なわないということになってしまった。ちょうど日本では、音楽配信サービスに対して非常に抵抗を示していた時期だったから、おそらく2002年か03年ぐらいのことだろう。そんな状況がなんだかバカバカしくなって、止めてしまった。
さすがに今ではその程度のインターネットラジオに金を出すというのは考えられないが、当時はカスタムラジオ型音楽販売というのは、聴き手にとっては便利なサービスであると感じた。つまり、類型アーティストの楽曲が聴けることで音楽的な門戸が広がるし、気に入ったアーティストができれば、次はそのアーティストの類型チャンネルを作ることができる。
そうやって絞り込んでいった結果、別ジャンルの音楽に興味を持つようになる。筆者もこのような耳学問方式で、Britpopというジャンルに対して興味を持つに至った。当時Musicmatchでは、気に入ったアーティストの音楽CDが米国CD NOW!で注文できるようになっており、これが日本でも始まれば相当音楽で散財しそうだと思ったものだ。
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