小寺信良

定額制音楽サービスはアリか(3/3 ページ)

そこに愛はあるか

 Napsterには音楽ダウンロードで売り切りといったサービスもあるが、ここではサブスクリプション型ダウンロードのビジネスモデルについてのみ言及する。このモデルは、丁度インターネットラジオとダウンロード楽曲販売の、ちょうど中間に位置する販売形式であることがわかる。

 お金を払っている期間中、大量に利用するほど元が取れるということでは、ラジオ式というか、しゃぶしゃぶ食べ放題式である。その一方で、ラジオ式ではできなかった、希望する楽曲・アーティストのみを聴くことができる。また料金コースをアップグレードすれば、ダウンロードした楽曲をポータブルプレーヤーに移すこともできる。携帯電話へのサポートも予定している点も、これまでにはない強みだ。

 どちらかと言えば、音楽の長期リースに近いイメージである。リーズナブルに大量の音楽を聴いてみたい世代、自分のことを思い出してみれば、思春期の中高生時代にこういったサービスがあれば、本当に幸せだったのではないかと思う。

 もちろんリースであるから、お金を払わなくなれば再生できなくなる。だがよく考えてみれば、この方式はまさにインターネットそのものであるとは言えないだろうか。多くのネットユーザーは、定額制料金でネットに接続していることだろう。すべての情報はオンラインにあり、よほど希少か、期間限定の情報でなければ、わざわざローカルに保存しない。

 つまりお金を払い続ける限り、入手できる情報も無限大である。

 その代わり、オンライン上にある情報に愛を感じることはない。すべてが行きずりの関係だ。Napsterのサブスクリプションサービスも、そういう意味で本質は同じなのである。

 インターネットもNapsterも、お金を払い続けることを辞めたとき、どれだけの喪失感を感じるだろうか。誰もそれをやってみた人がいないだけに、それは是非を問うようなことではないのかもしれない。

 ただある意味ナイーブな問題を先送りして、それが見えないようになっているのだという点は、どこか心の片隅に置いておくべきだろう。

小寺信良氏は映像系エンジニア/アナリスト。テレビ番組の編集者としてバラエティ、報道、コマーシャルなどを手がけたのち、CGアーティストとして独立。そのユニークな文章と鋭いツッコミが人気を博し、さまざまな媒体で執筆活動を行っている。

印刷する
SNSでシェア
SpecialPR

この記事の著者

こんなメディアも見られています

ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。

メールマガジンを配信中
メールマガジンを配信中

国内外の業界動向、AIやクラウドなどの最新技術、キャリア情報など今知りたい情報をまとめてお届けします。

いますぐご登録

本日の新着記事

アクセスランキング

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

ITmedia NEWS SNS

X @itmedia_newsをフォロー

インフォメーション

ITmediaNEWSをフォロー

あなたにおすすめの記事PR