「物欲、刺激されました」、ブロガーが着目したJVC「HA-SZシリーズ」3つのポイント潮晴男氏のレビュー「いいたい放題」も掲載(3/4 ページ)

» 2013年05月14日 10時00分 公開
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 豊かな低音域と切れの良い中高域……、音楽を再生する上でこうした要素は極めて重要である。スピーカーでもそうしたオーディオ的なスペックを満足させることは難しいのに、それをヘッドホンで実現しようというのだから、大変だ。JVCケンウッドが新たにリリースするオーバーヘッド型のモデル、「HA-SZ1000」と「HA-SZ2000」は、果敢にもスピーカーのパフォーマンスに迫ろうとする挑戦的なヘッドホンである。

 女性ジャズ・ボーカルの大好きなオーディオ・マニアが作ったら、こうなった……。以前、同社がリリースするステレオ・ミニヘッドホン「HA-FXZ200」と「HA-FXZ100」を紹介した折、ぼくはこれらのモデルをまとめ上げたエンジニアの三浦拓二について、こう記したが、このモデルはその三浦が、さらに腕によりをかけて開発した新製品なのである。彼らはカナル型のFXZシリーズで、ヘッドホン初の「ストリームウーハー」と呼ぶバスレフ方式のスタイルを確立したが、この方法をさらに進化させ、大型ドライバを使ったオーバーヘッド型にも展開したのである。

 SZシリーズでも、低音域と中高音用に別々のドライバーユニットを与え、ワイドレンジな再現を狙っている。しかもウーハーには55ミリという大口径のユニットを採用した。もうこれだけでも充分な低音域の再現が可能なのに、三浦たちはそれでも満足しなかったのである。さらなる深遠な世界を求めて、カナル型で追及した「リアルな低音域」と「解像力あふれる中高域」の両立を目指し、ストリームウーハーにはダブルバスレフという方法論を用いて徹底的に重低音だけ取り出すことにしたのである。

 イラストによる展開図をご覧いただくと分かりやすいが、第一チャンバーからバスレフポートを経由して放出されたサウンドが、最終的に第二チャンバーに設けられたパイプ状のデュアルストリームダクトから耳元へと届く。「100Hzを下回る帯域を電気的なフィルターを用いず取り出すにはこの方法以外にありません」。三浦の自信はこのモデルでも揺るがない。こうして大口径の低音域用のドライバーに合わせ、中高音用にはカーボンナノチューブの振動板を用いた30ミリ口径のユニットを開発。これをカップリングすることで、ローエンドから高域に至るまでスムースな繋がりのサウンドの再現を可能にした。

展開図

 もっとも、こうした新型のドライバーユニットとともに、こうしたモデルではドライバーユニットを支えるハウジングの作り込みが最終的な性能を大きく左右する。振動板が大型になるほど、チャンバーの体積も必要になるので強固な作りがなされていないと、量感は取り出せても甘口のサウンドになりかねないからだ。

 三浦と同じく、設計を担当したグループ長の柳下裕治は、そのためにカット・アンド・トライを繰り返しながら、この形を作り上げた。一見するとかなり大仰なスタイルだが、そこには緻密な計算が隠されている。柳下いわく「金型の修正は数知れずですが、納得できるまで何度もやりました」。まさに人知れずの苦労がここにある。

 さらにSZシリーズでは、HA-SZ1000があくまでもコンセプト・モデルであって、HA-SZ2000はそのプレミアム版としたことも、今までにはない取り組みだ。一般的にシリーズ化をおこなうとどうしても普及機と上級機という解釈がなされることが多い。結果上位機にばかり光があたることになるが、このシリーズではあくまでもHA-SZ1000が基本であり、HA-SZ2000はその特徴をさらに引き出すことにこだわった仕様としている。

 ハウジングの外装仕上げ、大型のドライバユニットをサポートするインナーケース、出力ケーブル、そしてイヤーパッドとヘッドパッド。これらを変えることで両者に変化を付けているが、その違いを個装箱のデザインにまで採り入れたのは、JVCケンウッドの製品でも初めてのことだという。

HA-SZ2000は、プロテインレザーイヤーパッド(左)にメッシュ素材のヘッドパッド(右)など、ぜいたくな仕様

 もう少し両者の違いに触れておくと、ハウジングの外装仕上げについては、HA-SZ1000がシルバーのリングハンガーにマット塗装、HA-SZ2000はブラス色をベースにしてハンマートン塗装による仕上げがなされている。大型のドライバーユニットをサポートするインナーケースもHA-SZ1000は剛性が高く制振効果に優れたモールド材を、HA-SZ2000は比重の大きい金属素材・真鍮を使ったブラス(真鍮)製制振シリンダーをこの部分に配し、ツブだった音を全域で再現している。出力ケーブルもHA-SZ1000はOFC線材、HA-SZ2000には純銀コートのOFC線材をそれぞれ使い分けている。そしてイヤーパッドとヘッドパッドにも細やかな作りわけを施しているものの、低音域の充実した音造りに関しては両者とも全く妥協していない。

HA-SZ2000の高剛性ユニットベースにはブラス(真鍮)製制振シリンダーを採用

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