「デイリーポータルZ」の素顔(1/2 ページ)
@niftyに「デイリーポータルZ」(DPZ)というWebサイトがある。ニフティが運営するサイトで、「バナナで釘打って日曜大工」「糸電話で市外通話」「シャボン玉の中に入る」など、身近でささいでちょと気になることを調べたり実験したレポートを「特集」として毎日掲載しているほか、面白いサイトのリンクもたくさん載っていて、訪れるたびにニヤリ、クスリとさせてくれる。月間600万ページビューを集める人気サイトだ。
企業が運営しているWebサイトといえば、何かを販売したり、広告をたくさん載せているものが多い一方、DPZでは何も売っていないし、広告もほとんどない。運営には費用がかかっていそうだが、閲覧は無料。利益“非”追求型に見えるDPZは、一体どのように生まれ、どうやって作られているのだろうか。サイト運営者で、「Webやぎの目」のWebマスターとしても有名なニフティ・サービス事業推進部の林雄司さんと、同社広報室の吉冨太郎さん、毎日の特集記事を書いているライターの大塚幸代さん、住正徳さん、古賀及子さんに聞いてみた(文中敬称略)。
「ネットの面白さ」を知ってもらうためのショールーム
──デイリーポータルZはどのように生まれたのですか?
林 もともとは、@niftyの各サイトに人を誘導するためのポータルサイトで、1週間ごとに@niftyのサイトから面白いものを抜き出して紹介していました。ただ、それだけでは人が集まらないので、独自企画で人を呼ぼうと、月ごとにテーマを決めて読み物を書いていました。例えば、11月は「お風呂」と決め、入浴剤を比較するとか。それに加えて、身近なテーマについて実験・研究する「夏休みの自由研究」とか「自由研究100連発」という特集を組んだことがあったんですが、これが思いのほか好評だったため、2002年の10月に、週間から日刊に変更、名前も「“デイリー”ポータル」になりました。
──今では@niftyのポータルというよりは、特集記事メインのコンテンツサイトですよね。
林 そうですね、特集記事と、ネット上の面白サイトの紹介が中心。@niftyのサイト紹介だけじゃつまらないので、外の面白いサイトをたくさん紹介しています。@niftyとは関係ないサイトが10件くらい、@niftyのサイトは3件くらいですね。
──@niftyサイトへの誘導を積極的に行うわけでもなく、サイト上には広告もほとんどないDPZですが、何か収入はあるんですか?
林 ないです(キッパリ)。3月に本を出したので、(これまでの特集記事をまとめた本「おとなの自由研究」アスペクト刊)。これがはじめての収入です。でも、本を出したのも儲けのためではなく、単に出したかったから。
──儲からないけど続けている。ニフティでは、このサイトはどういう位置づけなんでしょうか。
吉冨 「インターネットは面白い」ということを知ってもらうためのショールームみたいな役割ですね。インターネットには、「なんか怖そう」とか、「なんかうさんくさい」とか、そういう悪いイメージがいまだにあると思うんです。DPZならそのイメージをぬぐえる。毎日安心して読んで、楽しんでもらえる、それがDPZの存在価値ですね。
林 僕は、ユーザーが楽しめるものしか載せたくないんです。広告みたいなイヤなもの、ユーザーが望まないものを見せてお金をもらう仕組みにはしたくない。広告主からお金をもらっちゃうと、コンテンツが広告主に向いてしまってどうしてもつまらなくなる。つまらなくなると読む人が減る、読む人が減ると広告も減る、という悪循環になってしまうので。お金にすることを考えるなら、普段見ている人の方を向いて、見た人が喜んでお金を払うシステムがいいですね。
──有償化プランは具体的に何かあるんですか?
林 携帯電話対応にして、携帯版は有償化はするかもしれません。でもPCで有償化はうまくいかないと思います。だから、何か、モノに乗せて売れないかなとは思っています。マグカップとか。Googleがサイトの端っこのほうでマグカップとか売ってるじゃないですか。ああいう風に、とりあえずマグカップ作ってみるのもいいかも、と。
人気の秘密は「皆がわかる、皆が気になること」を扱うから
大塚 他のサイトで人を集めようとすると、有名人を出すか、死体を出すなどショッキングな演出をするかのどちらかなのに、DPZは有名人が書いているわけじゃないし、変わったこともしていないし、ショッキングな記事もない。でも見てくれる人が多いのはなんでだろうと不思議に思います。
──林さんは、DPZの人気の理由をどう考えられますか?
林 ニュースには載らないけど、皆が気になって、誰でも分かること、例えば「しょうゆかけごはんは本当にいけないのか」(3月29日の特集「しょうゆかけごはんを見直す」参照)とか、そういうことを扱うのが大事なんだと思います。キラキラしたかっこいいものや、先端ぶったものには、もうウンザリなんです。流行の音楽についての記事なんかも、狭くて、誰もが見られるものじゃない。
吉冨 皆で共有できる話題を提供してくれるのがDPZの魅力だと思います。僕も、しょうゆかけごはんの特集を見た日に、しょうゆかけごはんを食べてしまいましたから。
林 まずいものを食べて、かわいそうな感じに演出するTV的な物よりも、おいしいものをきちんと紹介するほうが人気が出ますね。「牛丼はまだここで食える」なんかは特に評判がよかった。
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