「近接/輝度センサー」――高度化する携帯電話に欠かせない“目”:デジモノ家電を読み解くキーワード
傾けた方向に画面が回転する、顔を近づけると画面が消える、これはいずれも機器に内蔵された「センサー」の働きによるもの。今回は、携帯電話(スマートフォン)の分野で採用が進むセンサーについて、その種類や機能を解説してみよう。
センサーは「入力装置のニュータイプ」
センサーとは、外部の状態(およびその変化)を測定し、電気信号などのかたちに置き換える装置を指す。用途や目的に応じてさまざまな種類のセンサーが開発され、小型化が進むとともに携帯電話への採用事例が急増している。話題を集める新型機のほとんどになんらかのセンサーが搭載されていることを考慮すると、センサーは「入力装置のニュータイプ」と言っても言い過ぎではないだろう。
一足早くセンサーが普及したのが、ゲーム機の分野だ。任天堂「Wii」に採用されているモーションセンサー(3次元加速度センサー)(デジモノ家電を読み解くキーワード:「加速度センサー」――特徴と弱点、補完する角速度センサー)は、ラケットを振るような動きを検出できることで人気を博した。iPhone/iPod touchにも同等のセンサーが搭載され、ゲームという新しい市場の開拓に貢献している。
iPhoneの“あの機能”もセンサーで実現
そのiPhoneには、モーションセンサー以外にも2つのセンサーが搭載されている。iPhoneの入力装置ではマルチタッチ液晶が特に知られているが、センサーも負けず劣らず重要な役割を果たしていると言っていい。
1つは「近接センサー」。電話をするとき端末に顔を近づけると画面が消えるのは、誤って顔や耳でボタンを押してしまわないための対策だが、顔/耳が近づくことの判定は近接センサーが行っている。テンキー型の携帯電話はともかく、今後タッチパネル型端末が普及すれば、採用事例が増えるものと予想される。
「輝度(照度)センサー」が果たす役割も見逃せない。環境光センサーとも呼ばれるこの装置により、端末の周囲の明るさを検知し、その情報を画面の輝度調整などに役立てるというものだ。なにげない機能のようだが、バッテリーの保ちが重要な意味を持つ携帯電話/スマートフォンにとっては、必須のセンサーとされても不思議はない。
今後も続く? 新センサーの投入
上述した以外にも、携帯電話/スマートフォンに採用実績を持つセンサーは少なくない。たとえば、コンパスとしての役割を果たす「地磁気センサー」。カメラ機能に必須の「イメージセンサー」も、光と色を感知するセンサーの一種だ。現時点では実用化されていないが、ジャイロセンサーを搭載した本格的ナビゲーション機能付き携帯電話は大いにありうる。逆にいえば、新顔のセンサーが携帯電話/スマートフォンのハードウェアとしての魅力を高める、という時代を迎えているのかもしれない。
執筆者プロフィール:海上忍海上忍 (うなかみ しのぶ)
ITコラムニスト。現役のNEXTSTEP 3.3Jユーザにして大のデジタルガジェット好き。近著には「デジタル家電のしくみとポイント 2」、「改訂版 Mac OS X ターミナルコマンド ポケットリファレンス」(いずれも技術評論社刊)など。
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