“技術で節電”、東芝の節電AV機器を読み解く:野村ケンジのぶらんにゅ〜AV Review(2/2 ページ)
東芝は6月15日、バッテリー内蔵REGZA「19P2」、Androidアプリ「RZ節電リモ」、待機電源をゼロにする「ecoチップ」を紹介した。
RZ節電リモの優れている点は、4モード(電源オフ/節電2強/節電1弱/標準)の消費電力設定をどういった状況下(電力供給状況)で切り替えるか簡単かつ自由に設定できることと、モード切り替えを手動でなく自動的にコントロールしてくれることだ。例えば自分ではない家族の誰かが視聴しているときでも、自動的に節電/標準への復旧を果たしてくれるのはありがたい。また一度設定してしまえばアプリ内のデータを頻繁にチェックする必要もなく、視聴しているときはテレビの明るさ/電源オフ動作で現在の電力使用状況の変化を知ることもできる。なかなか使い勝手の良いアプリといえそうだ。
不満点を上げるとすれば、対応モデルの少なさだろうか。こちらのアプリで節電操作が行えるのは最新モデルの「ZG2シリーズ」「Z2シリーズ」「ZP2シリーズ」の3機種のみで、それ以前のモデルには非対応となっている。可能であれば今後は対応製品を増やしてほしいものだ。
なお「RZ節電リモ」のリリースは7月中旬を予定している。iPhone/iPad用は今のところ予定がなく、アンドロイド用のみとなるが、スマートフォン用とタブレット用、2つのバージョンが用意される予定だ。
待機電力をゼロにする「ecoチップ」
さて、この節電ブームに対する東芝からのさらなる提案が「ecoチップ」。こちらは、端的にいえば「低消費電力で待機動作を行うICチップ」だが、それを中心に据えてシステムに工夫を凝らすことによって、搭載機器では待機電源ゼロを実現するというから注目だ。
システムの概略はこう。ecoチップを大容量キャパシターと組み合わせ、機械式リレーを併用することで物理的な配線をカット。事実上の待機電源をゼロにし、同時にキャパシターの電源によって、リモコン操作への反応もスムーズに行うという。
もともと待機電源は、リモコンで電源オンするために必要となったもので、現在は自動電源オンや各種センサーのモニタリング、バックグラウンド動作などにも利用されている。このため便利さをなくさず、それでいて待機電源をなくすのはまず難しいと思われていたが、東芝はecoチップとキャパシター、機械式リレーを組み合わせることによって、コンセントを抜いた状態と同等のゼロ電力を実現するに至った。
こちらのシステムについては、年末あたりにリリースされるREGZAおよびREGZAブルーレイに搭載される予定となっている。夏に間に合わないのは少し残念だが、節電の重要さは冬以降も変わらないはず。節電しながら利便性を損なわないAV機器の登場に期待しよう。
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