メーカーに温度差のある“スマートテレビ”――CESまとめ(後編):2012 International CES(2/2 ページ)
「2012 International CES」では、スマートテレビの展示も多く、来場者の注目度も高かった。ただ、代表格であるはずの「Google TV」をプッシュする展示は少なく、独自プラットフォームやデバイス連携のほうが目立っていた。
テレビの展示は控えめ、スマホやタブレットが拡大
最後に、各社ブースごとの傾向を簡単にまとめていこう。筆者は今回のCESの前に、ドイツのベルリンで開催された「IFA 2011」、10月の「CEATEC JAPAN 2011」というの2つの家電総合展示会を取材する機会を得たが、その展示内容とCESが驚くほど近かったことが印象に残っている。
例えばパナソニックのスマートテレビコーナーの展示方法や内容がIFAとほとんど同じだったこと、LGの入り口で大スクリーンを前に3Dメガネを渡される演出や展示内容などが同じなど、一瞬記憶がフラッシュバックしたほどだ。Samsungブースでも似たような印象を受けた。「欧州と米国で違う市場に対して同じ製品やソリューションを売り込む」という理由を考えれば、こうした類似は別に不思議なことではないのかもしれないが、同時に「半年くらいの期間の違いでは内容に大きな差はない」ということの現れなのかもしれない。
逆に、IFAから比較して展示内容が大きく変化していたのが東芝とシャープだ。前回のIFAではグラスレス3Dテレビ「55ZL2」(日本では55X3を発売)という目玉商品のあった東芝は、これに連動したスマートテレビ戦略やタブレット製品、初のUltrabookなどを展示する形態を採っていた。だが、今回のCESではかなり大人しく、それらをコンパクトにまとめたような展示内容になっており、「東芝の北米戦略」といった点にフォーカスしていた印象だ。
シャープはIFAのタイミングではサッカー大会の「EURO 2012」をテーマにした展示に絞っており、いくつかの大画面製品とスーパーハイビジョンといわれる8K4Kの展示に留まっていた。シャープの場合、実際にはプライベートブースで関係者のみに「ICC-4K」のデモストレーションを行っており、これをまずCEATECで一般公開し、次にCESでもメインコンテンツとして8K LCDとともに展示を行うことにしたようだ。これは、ICC-4Kの市場投入が近くなったことも理由だと思う。ブースの大きさの違いもあるが、IFAとCESの両方を見た筆者には、IFAではスペースを利用してより大胆なものを、CESでは内容をコンパクトにまとめる傾向があるように感じた。
また、前編で取り上げたLGとSamsungの55V型有機EL、ソニーの「Crystal LED Display」という目玉技術があったにもかかわらず、CESの展示におけるテレビそのものの占める比率はそれほど大きくなかったという印象もある。シャープを除けば、今回紹介した5社はすべてノートPC(Ultrabook)、スマートフォン、タブレットの展示を大スペースで行っており、コンテンツを楽しむデバイスの裾野が広がっている様子を象徴するものとなっていた。また、CESの会場となった「Las Vegas Convention Center」(LVCC)の屋外広告の半分以上はスマートフォンやタブレットに関するものであり、この傾向を裏付けている。今年のIFAや来年のCESでは、よりこの傾向が強くなっていくかもしれない。
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