インチ1万円を切る、東芝が語った4Kテレビとクラウド戦略:2013 International CES
東芝は、「2013 International CES」の開幕に先立ち、1月6日(現地時間)に米ラスベガスで日本プレス向け記者会見を開催した。第2世代4Kテレビは84V型、65V型、58V型をラインアップする。
東芝は、「2013 International CES」の開幕に先立ち、1月6日(現地時間)に米ラスベガスで日本プレス向け記者会見を開催した。2013年のフラグシップ製品と位置付ける4Kテレビ3機種を紹介したほか、同製品をスマート家電として他製品やサービスと連携させるクラウド戦略を推進する。
東芝は、日本でも春の発売を予定している第2世代4Kテレビ3機種を披露した。これまで84V型のほかは“50V型台、60V型台”としていたが、今回は58V型と65V型をラインアップすることが明らかになった
家電戦略の軸の1つは「クラウド」と「ホームソリューション」
東芝が近年力を入れているのは、“スマートコミュニティ”と呼ばれる都市全体を包括的に監視、制御する仕組みと、その構成要素の1つである家庭向けソリューションだ。代表的なものは電力管理(HEMS)で、各電気製品の使用電力を集中管理する「スマートメータ」を中心にスマート家電が連携し、快適性を維持しながらピークシフトや節電を実現するという。スマート家電の情報をホームゲートウェイが吸い上げ、バックエンドで情報を管理するクラウドサービスと連携して家電の集中制御を可能にする仕組みだ。
例えば電力使用の多い機器同士が同時使用されるケースでは、片方をいったん停止することでピーク電力を抑制するといったことが可能になる。CESの東芝ブースでは、オーブンレンジやランドリー、クリーナーといったスマート家電の連携動作をデモンストレーションする予定だ。今後はスマート家電のラインアップ化とともに、これらを制御するクラウドサービスを提供する。
もっとも、日本では震災以後に省電力に対する関心が高まっているが、北米ではこうした意識が薄い。このため、例えばテレビで映画BDなどの鑑賞を始めると、室内のLED照明が連携して間接光メインの「シネマモード」へ移行するといった、どちらかといえばホームオートメーション的な提案が行われる。まず東芝のクラウドプラットフォームの一環としてクラウドTVサービスを2月から北米市場でも提供するという。
最終的には、こうした家電連携などでクラウド上でライフログを収集し、個々のユーザーに応じて最適なパーソナライズやリコメンデーションを行い、「使うほどに賢くなる」家電を目指す。
2015年には58V型以上のTVの90%は4K対応に
クラウドと同時に東芝が積極的に推進しているものがテレビの4K対応だ。同社によれば、日本においても年々大画面テレビへのシフトが進んでおり、51V型以上の大型テレビ販売は過去2年間で3倍以上に増えたという。ただし、画面が大きくなるとフルHD解像度(1920×1080ピクセル)では画素の荒さが目立つようになり、「感動指数は低下する」(同社)。このギャップを埋めるのが、高精細な4Kパネルと超解像技術だ。
周知の通り、現時点で4Kネイティブコンテンツはほとんど流通しておらず、当面はBlu-ray Discやデジタル放送など、フルHDかそれ以下のコンテンツがメイン。アップコンバートと超解像技術の“出来”が、4Kテレビの画質そのものを左右する。このため東芝では、4Kパネルに新しい映像エンジン「REGZA ENGINE CEVO 4K」を組み合わせたものを「シネマ4Kシステム」と名付け、他社との差別化ポイントとして積極的にプッシュする。
会場では84V、65V、58V型の3種類のサイズのTV製品が展示されており、それぞれにフルHDのBlu-rayコンテンツを流してデモストレーションが行われた。実際の映像を見ると、昨年秋の「IFA 2012」でデモストレーションしたものよりも精度が向上し、さらに完成度が高まった印象。アップコンバートした映像は、水平解像度でオリジナル映像の9割近い数字を実現したという。
気になる価格については、84V型は難しいものの、58V型、65V型については「1インチあたり1万円を切る水準」(東芝)を目指すという。競合他社が100万円を超える価格帯で4Kテレビをラインアップしているなか、価格面での訴求力は高いといえるだろう。
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