ハイレゾ対応ICレコーダーは音楽再生機になりうるか? ソニー「ICD-SX1000」:一台二役(3/3 ページ)
ソニーの「ICD-SX1000」は、192kHz/24bitまでのハイレゾ音源再生に対応した一台二役のICレコーダーだ。今回は、WAVのタグ情報表示やギャップレス再生といった音楽プレーヤーとしての機能も試していこう。
WAVの楽曲ファイルにタグ情報を入れてみた
PCから音楽ファイルを転送する際には、USBメモリとしてマウントし、ルートのMusicフォルダに放り込んでやればいい。アーチスト名やアルバム名でフォルダを作っている場合、「ICD-SX1000」上でもそのフォルダ名/構成が維持される(8階層まで)。転送時間に関しては、PC環境によっても左右されるため、あくまでも参考だが、合計7.5Gバイトのアルバム3枚分のWAVファイルで約12分だった。
前述のとおり、この製品では「高音質での再生」を特長としているが、これはつまり、LPCM 192kHz/24bit音源の再生に対応しているということだ。そのため、ハイレゾ音源配信サイト「e-onkyo music」などからダウンロードしたWAVファイルをそのまま転送して、「ICD-SX1000」上で再生することが可能だ。
再生音質に関しても満足の行くレベルで、なによりもLPCM 192kHz/24bitで再生しているという安心感(?)は捨てがたく、ICレコーダーと利用しつつ、移動時の音楽再生にも使いたいという気にさせてくれる。0.4kHz、 1.0kHz、 2.5kHz、 6.3kHz、16kHzの5バンド、およびクリアベースのレベルを個別に調節可能なエフェクト(イコライザー)も備え、ポップス/ロック/ジャズなどのプリセットも用意されている。
ここで気になるのが、WAVのタグ情報に対応しているのかという点だ。音楽再生時には、表示窓に再生中のフォルダ名とファイル名が表示されるが、上下ボタンを押すことで、レベルメーター、そして、曲情報へと切り替えられる。この曲情報にはアーティスト名、曲名が反映されるため、MP3はともかく、WAVではどうなるのかという疑問が生じる。
「e-onkyo music」からダウンロードしたファイルにはタグ情報が入っていないので、手動でタグ情報を入れてみたところ(今回はMediaMokeyを使用)、ちゃんと反映された。ただ、トラック番号に関しては、やはり認識されないようだ(そもそもWAVの標準的なタグ情報には含まれていない)。コピー順か何かの関係で、フォルダ内の曲順(ファイル順)がおかしくなるケースがあったのだが、トラック番号の付与では解決できなかった。
また、もう1つ、音楽再生に用いる際に非常に重要なのが、曲(ファイル)をまたいで演奏がつなげっている場合に、きちんとギャップレス再生してくれるかどうかということだ。こちらに関しても、「e-onkyo music」のLPCM 192kHz/24bit音源のアルバムで試してみたが、ファイル間で途切れることなく、滑らかに次の曲へとつながって再生された。
このように、「ICD-SX1000」はステレオICレコーダーとして優れた性能を発揮してくれるだけではなく、ハイレゾ音源対応の携帯音楽プレーヤーとしても十分に利用可能だ。LPCM 192kHz/24bitでヘッドフォン再生を行った場合にも、バッテリー持続時間は約13時間におよぶ(MP3であれば約22時間)。もちろん、ファイルの管理には少し苦労するし、なにより、アルバムアートの表示などは望めない。それでも、ハイレゾ音源を収集しており、なにより人とは少し違った携帯音楽再生を、と考える方は購入を検討してみてもいいのではないだろうか。
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CDの音質を超えるリニアPCM録音と192kHz/24bitハイレゾ音源再生。原音に迫るステレオICレコーダー
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