麻倉怜士の「デジタル閻魔帳」
進行する映像と音のハイレゾ化、有機ELへの流れも明確に――IFA振り返り(3/4 ページ)
ついにソニーも手がけた湾曲テレビ、その意義とは?
――韓国メーカーが力を入れている湾曲(カーブド)テレビについてはどう感じましたか?
麻倉氏: 今年のCESでLGが3台、サムスンが1台55インチの湾曲型有機ELテレビを展示しましたが、両社とも8月に販売を開始しています。LGの場合、55インチのフラットタイプが120万円ほどなのに対し、湾曲タイプは150万円ほどと高価です。8月にLGのショウルームに行く機会があったので話を聞いたところ、「購入者はIT長者やスター」と話していました。
今回のIFAでは、サムスンが55V型4K有機ELの湾曲タイプを出しました。LGは77V型で、こちらも4K有機ELです。一方でソニーからは液晶パネルを使った製品が中国やロシアで発売されました。いずれの製品もフレーム部のデザインで大きく湾曲しているように感じさせていますが、実際の画面はそれほど大きなカーブを描いているわけではありません。
では、なぜ湾曲させるのでしょうか。彼らに話を聞くと、フラットな画面では、画面の中央と端では距離が異なりますが、湾曲型では同じであることをメリットとして強調していました。映画館のスクリーンが湾曲しているのと同じ理屈です。しかし、映画館とリビングルームでは試聴距離や試聴人数が大きく異なりますから、小さなテレビではあまり意味は感じられません。55V型程度のサイズで目の前にある画面を曲げてどうするのでしょうか。また、明るい部屋で見たときの映り込みもひどいですね。“ぐにゃっ”とした感じで映り込みます。
――ほかにメリットはないのですか?
3D映像では明らかな恩恵があります。画面の端にある物体の立体感が良くなります。
湾曲といえば、ソニーのヘッドマウントディスプレイ「HMZ-T3」にも湾曲して表示させるモードがありますが、こちらは「20メートル先に750インチ相当」のシミュレートなので、丁度いいイメージです。私は、カーブした画面はテレビよりもHMDのほうが適していると思います。
リビングルームにアンビライト
麻倉氏: もう1つ。傾向というよりはIFAならではのヨーロピアンな発想で、アンビライトの製品が気になりました。映像に応じてテレビの背面がLEDライトでカラフルに光るもので、オランダのフィリップスが2007年からアンビライト付きのテレビを販売しています。同社は4Kテレビもアンビライトで行く方針です。
また今回は、ヤマハが「Relit」という間接照明を持つスピーカーを展示しました。1本の棒のようなデザインで、ツィーターを除く4つのユニットは後ろ向きに配置されており、壁の反射を利用します。LEDライトも壁の反射を利用する間接照明ですから、音と光の両方が後ろ側から出てくるのです。
日本のメーカーはどうしてもテクノロジーを優先しがちがですが、これは部屋の雰囲気を演出するユニークな製品です。担当者に話を聞くと、スウェーデンまで行って市場調査を行ったそうです。
駆け足でオーディオ・ビジュアル分野の傾向を紹介しましたが、IFAはイベントはそれだけではありません。白物家電あり、スマートフォンあり、オーディオもありというバランスのとれたイベントです。取材とはいえ、非常にリラックスして見て回ることができました。
夜はベルリン・フィルのコンサートに通うこともできました。今年はロイヤル・コンセルトヘボウ、バイエルン放送交響楽団、ベルリン・フィルハーモニーという世界の三大オーケストラが聴けて幸せでした。でも原稿で忙しかった。
――お疲れさまでした
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