麻倉怜士の「デジタル閻魔帳」
パッケージメディアの逆襲(後編)(1/3 ページ)
音楽や映画のネット配信もすっかり定着したが、一方でCDやBDといった既存パッケージメディアにも高音質化や高画質化といった新しい動きが出てきている。前回は、タワーレコードの復刻タイトルや「プラチナSHM」などを取り上げたが、後編ではBlu-ray Dsicの動向を中心に紹介していこう。
――BDオーディオには目立った動きはありますか?
麻倉氏: BDオーディオも順調に推移していて、ユニバーサル・ミュージックの参入がトピックです。同社は「ピュアオーディオ」というブランドを使い、これまでの名盤を192kHz/24bitのステレオ音源として販売しています。日本で買えるカタログを紹介します(表)。
BDオーディオの場合は、プレーヤー自体が普及しているうえ、容量の大きさを生かしてマルチチャンネルなども楽しめます。しかし今回はあまり凝ったことはしていません。リニアPCM、DTS-HD MA、ドルビーTrue HDという3つのモードを持っていますが、非圧縮とロスレス(可逆圧縮)を比較するためのマニアックな仕様です。
最新のBDオーディオ・タイトル「Before Meteor:FINAL FANTASY XIV Original Soundtrack」は大ヒットです。美麗なアートワーク静止画とともに、ハイクオリティな劇伴(96kHz/24bit)が楽しめるもので、8月14日の発売日で売り切れてしまいました。オリコンのチャートも1日目に2位になり、2日目から商品がないためにライクインされない事態になりました。発売と同時に瞬間蒸発したそうです。
制作したバーニー・グラントマン・マスタリング・トーキョーの前田康二氏は、このディスクの仕掛けを教えてくれました。「104曲の曲順を確認したときにスクウェア・エニックスさんのゲーム事業部から『ゲームユーザーはこんな並びで楽曲は聞かない』という話になり、国ごとのプレイリストを作ることになりました。ゲームを始めるとまず自分の国を選ぶところからスタートします。それが故郷となります。その国には国ごとに再生される曲が決まっていて、別の国へ行かないと聞けない曲が存在します」。
ただ、オールプレイで再生してしまうと、自分の知らない曲が聴けてしまい、それはどこの国の曲だったのか、と視聴者に疑問を持たせることになります。そこで、本来作家さん達が決めた曲順と国ごとのプレイリストを持たせたそうです。「作品の中に楽曲がテーマに依存して存在しているというタイトルはいままでなかったものです。これは配信では絶対に不可能ですし、アーティストとファンのコミュニケートでもあります」(前田氏)。面白いですね。
ところで、10月には恒例の「オーティオ&ホームシアター展 2013」があります。私も「BDオーディオが開く音の新世界」という講演を行いますので、是非来てください。
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