ヘッドフォン選びで悩んだときの最善策とは?――ヘッドフォン・バイヤーズガイド2014“春”(5万円以上):三匹が聴く!(最終回)(4/4 ページ)
ヘッドフォン特集もついに最終回。各社のハイエンドモデルが並ぶ、5万円以上&価格上限なしの頂上決戦だ。
ゼンハイザー「HD800」
“パーフェクト”を目指して開発されたゼンハイザー製ヘッドフォンの最高峰モデル。ドイツのゼンハイザー本社で設計され、ハンドメードでの組み立てまでを行う、「完全なメイド・イン・ジャーマニー」だ。
開放型のハウジングには、リング状の56ミリ径トランスデューサー(ドライバーのこと)を収めているが、自然なリスニングを追求するため、装着した際、左右それぞれに60度ずつ開いた位置にスピーカーが正対するように設計、調整されている。ケーブルは着脱式。イヤーパッドはマイクロファイバー製だ。
野村 ☆☆☆☆☆
これぞゼンハイザーといいたくなる、音楽性豊かなサウンド。多彩な音色感、豊かな抑揚表現によって、音楽の楽しさや臨場感を普段よりも数倍高めてくれる。ヘッドフォンのキングと呼ぶにふさわしい逸材。その分、ヘッドフォンアンプをシビアに選ぶなど、難しい面もある。
坂井 ☆☆☆☆☆
とにかく上品で、どこまで聴いても上品なサウンドは、理屈ではなく、一度聴けばやっぱりなんだかんだいって「HD800」だなと思ってしまう。クラシックは、特にその音源の持つポテンシャルをすべて引き出してしまうほど相性がいい。
滝田 ☆☆☆☆☆
クラシックの名盤を聴いていると、大袈裟ではなく、そこにストーリーや風景まで見えてきそうな、そんな没入感まで感じられるのが「HD800」のすごさ。長きに渡り、ヘッドフォンのトップモデルとして君臨できる歴史的な1本だ。
AKG「K812」
AKGブランドのフラグシップモデルに位置づけられるモニタリング用の開放型ヘッドフォン。オーストリアのウィーンで職人による手作業で組み立てられ、厳密な検査の後で固有のシリアルナンバーが付与されるという。
新開発のドライバーは、53ミリ径とAKG製品の中でも最大で、これを磁束密度1.5ステラという強力な磁気回路で駆動する。イヤーパッドは、吸湿性と保温性に優れた合成皮革「プロテインレザー」を使用したアラウンドイヤータイプ。ヘッドバンドはメッシュ構造で蒸れにくくなっている。着脱式ケーブルのコネクターには信頼性の高いLEMOコネクターを使用した。木製のヘッドフォンスタンドなどが付属する。
野村 ☆☆☆☆☆
プロユースで高級なモデルなのに、iPhoneなどのポータブル環境でも、ちゃんと理想的な音に近いものを聞かせてくれるのが「K812」のすごいところ。ジャンル問わず、どんどん音が聴こえてくるので、聴いていてラクだし、次々と音楽を聴き続けたくなる。
坂井 ☆☆☆☆☆
女性が装着しても十分クールで、音も非常に繊細で、ピアノの倍音まで聞こえてくるのはビックリした。iPhoneに収録されているデジタル音源でも、しっかりとそのポテンシャルを感じさせてくれる1本。高級だけどデザインも良く、いつでも使いたい。
滝田 ☆☆☆☆☆
ハイレゾが盛り上がっているからこそ、それに見合ったヘッドフォンとしてオススメしたい。音楽制作現場やアーティストの意図を再現してくれる究極の1本。見た目も渋さと先進さをバランス良く融合していて、フィット感も上々。高価格でもこのオールマイティーぶりなら納得。
まとめ
後半の10万円超えゾーンは大激戦。フォステクス「TH900」、ゼンハイザー「HD800」、AKG「K812」の3製品が満点をたたき出した。
音質、外観ともにそれぞれの個性があり、しかもすべてが納得の仕上がり。編集部としてはあえて1本を選んでほしかったところだが、レビュアーの意見も三者三様で最後までまとまらなかった。よって3製品とも栄え(だけ)ある“Good Buy”製品に認定。まとめて「悩んだら全部買ってみる?」賞としておこう。
ちなみに3機種の総額は43万7219円。まあ、悩むこともオーディオの楽しみの1つということで。
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