山本浩司の「アレを観るならぜひコレで!」
Dolby Atmos再生にも個性の違い――デノンとパイオニアの試作機をチェック(1/2 ページ)
この秋のオーディオビジュアル・シーン最大の話題は、「Dolby Atmos」(ドルビーアトモス)のホームシアター展開、すなわちAVアンプのアトモス信号処理回路の搭載ということになるだろう。
そもそもドルビーアトモスというのは、2012年に米国のドルビー研究所が提案した劇場用音声フォーマット。従来の5.1ch、7.1chといったチャンネルベースの音声に、天井に取り付けるトップシーリングスピーカーを加えて最大64チャンネルのスピーカーアロケーションが可能な最新の立体音響技術だ。
このフォーマットで注目したいのが、音像の絶対座標化の実現とそのフレキシビリティー。音素材1つ1つを「オーディオオブジェクト」と捉え、その位置・時間情報をメタデータとして記録して劇場に配給、そのデータを基に上映される劇場のスピーカー数と配置に応じたレンダリング(演算処理)がドルビーアトモス専用プロセッサー「CP850」にて行われる。それによってサウンドデザイナーが意図した音響効果が、それぞれの劇場のスピーカー構成に合わせて最適化されるという仕組みだ。
昨年以降、イオンシネマ、TOHOシネマズを中心にわが国でもドルビーアトモス上映館が少しずつ増えている。筆者は昨年暮れに「イオンシネマ幕張新都心」の「スクリーン8」で「ゼロ・グラビティ」をドルビーアトモス体験し、音像の1つ1つを指で示すことができるくらいのリアルな移動感とトップシーリングスピーカーを活かした半円球状に広がるそのダイナミックな音場表現にはげしく心を揺り動かされた。そして、ドルビーアトモスこそ1990年代半ばに果たされた「サウンドトラックのデジタル化」に次ぐ“映画音響の大革命”だということをすぐさま認識したのだった。
このドルビーアトモスのリアル3次元立体音響がいつになったら家庭で楽しめるようになるのだろうか、それはきっとしばらく先のことだろうと予想していたのだが、1年も経たずにAVアンプにアトモス信号処理回路が搭載されることになり、その展開の速さに驚いているというのが正直なところだ。
ちなみに「イオンシネマ幕張新都心」の「スクリーン8」は、スクリーン裏のL/C/RスピーカーにJBLプロフェッショナルの4Way機「5742」を設置した、とても音のよい映画館。劇場内はきわめて静粛で、空調ノイズもまったく気にならない。首都圏近郊にお住まいで最新映画音響に興味のある方は、ぜひ一度お出かけになることをお勧めする。
家庭用ドルビーアトモス・フォーマットの詳細は未だ明らかにされていないが(8月中に発表予定)、現時点で把握できていることを簡潔に述べておこう。
ドルビーアトモスのメタデータ(3次元の位置・時間情報)は、Blu-ray DiscのドルビーTrue HD音声に重畳して収録され、HDMIインタフェースを用いて、ビットストリームでBDプレイヤー/レコーダーから対応AVアンプに伝送される。AVアンプ内のアトモス信号処理回路でメタデータを解読、スピーカー構成に応じたレンダリング処理が行われる仕組みだ。
オーバーヘッドスピーカーは、リスニングポイントの頭上(天井)のトップフロント/トップミドル/トップリアにステレオペアで1組ないし2組を下向き設置することが推奨されるが、フロントスピーカー上方の壁に取り付けるフロントハイト、視聴位置後方の壁に取り付けるリアハイトの運用も認められている。
天井に新しくスピーカーを取り付けろといわれても、そんなの無理……とおっしゃる方は多いと思うが、とりあえずフロントハイト、リアハイトでもオッケーということであれば、ドルビーアトモス挑戦のハードルが低くなることは間違いないだろう。
また、ドルビーアトモスが収録されていない通常の5.1ch/7.1ch音声(ドルビーデジタルやDTS 、放送用のAAC音声など)についても、アトモス回路を積んだAVアンプではオーバーヘッドスピーカーを活かした信号処理が可能になり、その再生モードの呼称は「ドルビーサラウンド」になるという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
山本浩司の「アレを観るならぜひコレで!」
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
「菜の花がおかしい」――イラストレーター制作うたうマラソン大会ポスターに指摘相次ぐ 事務局がAI使用明かす【訂正あり】
-
2
「ペンギンを返して」 Suica新キャラ候補3案公開でSNSに戸惑いの声 一般投票は8日から
-
3
くら寿司、10%割引の“適用漏れ”を謝罪 レシート持参で返金へ ちいかわコラボのお詫び施策
-
4
iPhone 18シリーズ発表、今年はPro・Pro Maxのみ なんと“無印”なし 価格は21万9800円から
-
5
「iPhone Duo」発表 Apple初の折りたたみスマホ 36万4800円から
-
6
幻の「ちいかわ」コラボ第3弾皿、捨てちゃうの? くら寿司に聞いてみた
-
7
藤井風のリサイタル、公式サイトがインターネット老人会すぎると話題 公民館のチラシみたいだけど東京ドーム開催
-
8
「ランジェリーパープルじゃない」「買おうと思ってたのに」 iPhone 18 Pro/Pro Maxの色に落胆の声
-
9
新型iPhone「高すぎ」「買えない」悲鳴……1台約22~57万円 「換算レート円安すぎ」の声も
-
10
「ペンギンを返して」→「3匹全部採用して」 批判殺到のSuica新キャラ、ファンアートが空気を変えた? SNSの声
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR