「本当にHi-Fiとしても使えるAVアンプ」――デノンから2年ぶりのフラグシップ機「AVR-X7200W」登場:HDCP 2.2対応アップグレード付き(2/2 ページ)
D&Mホールディングスは、デノンブランドのAVアンプ新製品「AVR-X7200W」を発表した。「Dolby Atmos」対応に加え、既存のスピーカーを活かせる柔軟なスピーカーアサインを実現。本体はDACや電源を含めて“音”を練り直したという。
Hi-Fiのノウハウを導入したハードウェア構成
シャーシは1ミリ厚のスチール製で、新たに1.2ミリのボトムプレートを追加。合わせて2.2ミリ厚の鉄板が振動を抑制する。「AVR-4100W」で開発したABS素材の高密度フットと組み合わせた。
内部レイアウトは、中央にトランスコアを配置し、左右対称にパワーアンプ回路を並べている。これは「POA-3000」や「AVC-A1XV」など歴代のデノン製アンプから継承したHi-Fi的なアプローチ。トランスはなるべく大きなコアを使用するため、あえてカバーをせず、磁束の漏洩には別の手段を対処している。「パワーアンプ回路のヒートシンクとスチールプレートでトランスコアを取り囲んだ。ケースに入れるのと同等のシールディング効果がある」(同社)。
そのパワーアンプは、1chずつ独立した基板とした「9chモノリスパワーアンプ」だ。2008年の「POA-A1HD」から継承した同社製パワーアンプのノウハウで、各チャンネルのセパレーションを向上させるという。最大出力は260ワット。さらに今回は新設計とし、各基板がよりコンパクトになった。
DACには、旭化成エレクトロニクスの新しい32bit DACチップ「AK4490」を搭載。低ノイズ、低ひずみといった特徴に加え、多くのデジタルフィルターといった特徴がある。また将来的にはDSD 11.2MHzやPCMの384kHz信号にも対応可能など、「ポテンシャルが高いDAC。今後を見据えて採用した」(同社)という。そのDACも独立した基板に搭載している。
デジタル回路向けのスイッチングパワーサプライは「倍速ドライブ」。90Hz〜133kHzで動作することで、発生するノイズをオーディオ信号帯域の外に追い出す仕組みだ。このほか、ブロックコンデンサや大電流トランジスタ、高速ショートサーキットなど、カスタムメイドあるいはHi-Fi製品と同じパーツを多く採用している。
HDCP 2.2対応へアップグレード
「AVR-X7200W」は、8入力/3出力のHDMI端子を備えている。4K/60p(4:4:4)のパスルルーや4K(50/60p)へのアップスケーリングも可能だ。さらに同社では、4Kのプレミアムコンテンツ再生には必須となる最新の著作権保護技術「HDCP2.2」に対応するための無償アップグレードを2015年の初夏に実施する予定だ。
詳細は後日発表されるが、アップグレード時には基板交換を行う予定で、背面のHDMI入力(7系統)はすべてHDCP2.2対応となる見込みだ。
本体サイズは、434(幅)×196(高さ)×427(奥行き)ミリ。重量は17.8キログラム。リモコンとセットアップ用マイク、FM室内アンテナ、AMループアンテナ、電源コードなどが付属する。
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