ソニー「Life Space UX」の新コンセプトモデルは“全て”につながる4K短焦点プロジェクター:CES 2017
ソニーは、「Life Space UX」のコンセプトモデルとして、新しい4K短焦点プロジェクターを公開した。ユーザーがスムーズにさまざまなコンテンツにアクセスするための仕組みを設ける。
ソニーの「Life Space UX」シリーズは、日常の生活空間を生かしながらオーディオビジュアルの先進技術とリンクさせて、新しいクリエイティブな体験を生み出すコンセプトを重視したエンターテインメント製品だ。2014年のCESで初めてお披露目されてから3年が経ち、2017年のCESにまた新しいコンセプトモデルが出展された。
今回登場した新しいLife Space UXの試作機は、一見するとテレビラックのような本体に4K/HDR対応の超短焦点プロジェクターとスピーカーを一体化した製品だ。
投写デバイスにはソニー独自のSXRDを採用。壁に2cmまで近く寄せて約80インチの大画面が投写できる。ズーム機能はないので、本体を壁から少しずつ離していくことで、より大きな画面が映せる仕組みだ。最大120インチの画面まで再現できるという。画面の明るさは2500ルーメン。商品化の予定について、今回のイベントで詳しいことは発表されなかったが、ソニーのブースで展示の説明にあたったTS事業準備室長の斉藤博氏は「もちろん、本気で商品化するために開発しているプロトタイプだ」と言い切った。
本機のコンセプトは「It's all here(全てがここにある)」。プロジェクターにスピーカーといったハードウェア的な機能が統合されている製品という意味ではなく、映画に音楽、テレビ番組に写真や電子書籍など“コンテンツ軸”ですべてのエンターテインメントを遊べるライフスタイル系家電としての位置づけを強くアピールするためのスローガンだと斉藤氏は説く。
その特徴はブースで紹介されたデモンストレーションを体験すると明らかになってくる。プロジェクターが電子書籍の表紙画像を白い壁一面に表示。プレゼンテーションを行ったスタッフが「チョコレートの本が読みたい」と声に出すと、プロジェクターの画面にチョコレートの本を表示する。関連する書籍との“予期せぬ出会い”も誘発されるよう、ある程度あいまいな検索がひっかかるようなアルゴリズムが仕込まれる予定だという。
実は展示スタッフがどんな手段を使ってユーザーインターフェースを操作したのかについては明らかにされなかった。というよりも、この日のデモは正確にはスタッフが操作してるものではなく、あくまでコンセプト映像の表示だけ。「今後は音声認識やジェスチャー操作と、スマホアプリによるリモコン操作も組み合わせながら、ユーザーが書店の本棚をふらふらと散策するような感覚で手軽に、意識せず操作できる仕組みを考える」と斉藤氏。本体に高性能はCPUやグラフィックエンジンを積んで、4K/HDR映像のを高速で描画処理しながら遅延のないコントロールを実現する仕組みについても、今後具体的な検討を進めていくという。
画面に表示されるコンテンツについても、本体のローカルストレージ保存するのか、あるいはクラウドからストリーミングで受けるのか、あるいはその両方かということもこれからの検討材料として、現在も議論が進められている。斉藤氏は「ユーザーができる限りスムーズに、色々なコンテンツとコネクトできるようにしたい」と述べている。
本機はプロダクトデザインからUIのソフトウェア開発まですべてソニーが自社で開発してきたものだ。もしインターネットにつながって使えるようになるのであれば、昨今少しずつ数が増えてきたスマート家電とコネクトして使えればうれしい。また次の出展機会にコンセプトも含めてどれぐらい最終形に近づいているのか、Life Space UXに、また気になる製品が1つ増えた。
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