なぜお金を殖やせないのか? 3つの失敗例と“正解”はない分散方法内藤忍インタビュー(3)(2/2 ページ)

» 2008年09月10日 02時40分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]
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10万円と100万円の資産配分例

 「保守的と標準的なアセットアロケーションは理解できたが、自分の預貯金は10万円しかない。だから投資をあきらめよう」と考えている人もいるかもしれない。しかしそれは早合点で、「インデックスファンドと個人向け国債を中心に分散投資をすれば、運用はできる。運用金額に合わせたポートフォリオを考える場合も、“正解”というものはない。どの金融商品を選択するかは、リスクを考えながら自分で判断する必要がある」という。

10万円の資産配分例(標準的アセットアロケーションが前提)

比率 金額 金融商品
国内株式 30% 3万円 インデックスファンドTSP
国内債券 10% 1万円 個人向け国債(変動、10年)
外国株式 20% 2万円 トヨタアセット・バンガード海外株式ファンド
外国債券 20% 2万円 外貨MMF(米ドル、1万円)、外貨MMF(ユーロ、1万円)
そのほか 20% 2万円 ニッセイコモディティファンド(1万円)、MRF(1万円)

100万円の資産配分例(標準的アセットアロケーションが前提)

比率 金額 金融商品
国内株式 30% 30万円 インデックスファンドTSPとIBJITMジャパン・セレクション
国内債券 10% 10万円 個人向け国債(変動、10年)
外国株式 20% 20万円 トヨタアセット・バンガード海外株式ファンド(16万円)、HSBCチャイナオープン(2万円)、HSBCインドオープン(2万円)
外国債券 20% 20万円 外貨MMF(米ドル、7万円)、外貨MMF(ユーロ、7万円)、外貨MMF(豪ドル、6万円)
そのほか 20% 20万円 ニッセイコモディティファンド(10万円)、MRF(10万円)
マネックス・ユニバーシティの内藤忍氏

 勉強会やセミナーなどを通じて、多くの個人投資家と接している内藤氏。これまでに数多くのポートフォリオを見てきたが、失敗例は大きく分けて3つあるという。「最も多いのが、国内株式に偏って運用しているケースだ。分散投資ができていないため、リスクが高い。2つめは資産運用をしたいのに、失敗が恐くてどうしても始められないケース。3つめが日本経済を悲観して、外国株式や外貨預金などに偏っていること。実際、米ドルの下落で資産を大きく減らした、という人も多い」

 そして意外なことに「このようなアセットアロケーションではダメだ」と、自覚している個人投資家は多い。自覚しながらアセットアロケーションを変えれないのは、「損切りができない」「仕事が忙しくて別の投資法を考えられない。また同じ投資をしてしまう」などが挙げられる。「このような投資から抜け出すには、やはり自分が理想とする資産配分を決めることが大事。そして今の運用をどのように理想の方へと移行させていくかだ」

 なぜ資産運用をしているのか? この質問に対し、内藤氏は「人生の夢や目標を達成するために必要なのはお金。そのお金を長期に戦略的に殖やすことが大切だ」と話す。いったん作ったアセットアロケーションは定期的に見直しながら、継続しなければならない。「ビジネスパーソンはまず仕事を優先させなければならない。ましてや20代や30代は忙しい人が多いので、無理なく投資を続けられる仕組みが必要だ。そのために自分の理想の資産配分を早めに見つけてほしい」と語った。

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