――最近日本ではアニメや漫画が「ソフトパワー」と言われてますが、この言葉をどう受け止めていますか。自分の映画はソフトパワーの一種だと思っていますか?
宮崎 スタジオの中で私たちは、「海では蒸気船はなくなりましたが、ディーゼル機関やタービンを持った船がいっぱい走り回っている。しかし、1隻ぐらいは帆船のままで航海してもいいのではないか」と話しています。(現代の経済観念である)ソフトパワーという言葉にくくられたくないと思っています。
――麻生首相がアニメ・漫画好きと公言されていますが、これをどうお考えになっていますか?
宮崎 恥ずかしいことだと思います。それはこっそりやればいいことです。
――ジブリでは手描きなどの技法を採用されています。ピクサーなどの海外のアニメーションスタジオの手法などはどうご覧になっていますか?
宮崎 私はピクサーの(ジョン・)ラセター※とは友人です。かなり深い関係の友人です。それから英国のアードマン(・アニメーションズ)のニック・パーク※※も友人です。彼らが努力して作った作品を見た時に、彼らの努力を一番理解できる人間だと思っています。彼らの努力や恐怖、恐怖というのは「この作品が受け入れられるのか、受け入れられないのか」という恐怖ですが、そういうことも含めて共有できます。
私たちが鉛筆で描くことを、ラセターは喜ぶと思いますよ。「お前は絵を描けるんだから絵を描け」と前から言ってましたから。だから、そういう風に考えて、友人たちが作っている世界(を観ると)、いろんなところでそれぞれ頑張っているんだなあということです。
――ウォルト・ディズニーと比較する意見についてどう思われますか?
宮崎 (ウォルト・ディズニーとは)違います。私はプロデューサーではありません。ウォルト・ディズニーは非常にすぐれたプロデューサーでした。それでウォルトナインズ※という非常にすぐれたアーティストたちと仕事をすることができた。彼らの無限な信頼を得ていた人間だと思いますね。
ウォルト・ディズニーとウォルトナインズとの関係は、あの時代にしかありえなかったような非常に濃密な幸せな関係だったと思います。私たちは私たちなりに(そうした幸せな関係を)持っていますが、比較することはできません。1930年代にアニメーションを確立したという彼らの誇りと、それを使って商売をやってきたその後の人間たちとではずいぶん違うんだということです。
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