ニュース
» 2008年11月28日 07時05分 公開

「世界は美しいものなんだな」と感じてくれる映画を作りたい――宮崎駿監督、映画哲学を語る(後編)“ポニョ”を作りながら考えていたこと(2/4 ページ)

[堀内彰宏,Business Media 誠]

何時間鉛筆を握っていても疲れない腕がない

――資金を集めること、キャラ作り、ストーリー作り、アニメ制作で一番大変なのはどれですか?

宮崎 お金集めは鈴木(敏夫)プロデューサーがやってくれるので何の心配もいりません。つまり、自分の才能の不足に苦しむのだと思います。

 1日4時間しか寝なくてもスッキリしている頭とか、机の上の細かい絵がよく見える目とか、何時間指を動かしていても鉛筆を握っていても疲れない腕とかそういうものがないのです。

一緒に会場に来ていた鈴木敏夫プロデューサー

――アニメスタジオの労働環境は劣悪らしいですが、日本の今のアニメ業界についてどう思いますか?

宮崎 日本の一般的なアニメーションの状態を論ずる状況に私はないので、自分のことだけ話します。

 「アニメーターの労働条件があまりにもひどい」というのは日本で一般的だと思いますが、私たちはまともにすべきだと努力しました。でも、自分たちがカバーできる範囲はとても狭いのです。

 (2009年4月に)新人アニメーターたちが(スタジオ・ジブリに)入ります。彼らは、通常の給料がもらえるはずです。ただ、適性があるかないかというのは不幸にしてすぐには分かりませんが、私たちは東京の本郷の宿屋に泊まって、毎日出勤してもらって適性能力を調べるためのテストを10日間にわたってやりました。

 その結果、来年の4月から20人のアニメーターが職場に参加することになります。その養成のために、養成用作品を作りますが、そのあとも20人だけではなくて、続けて(採用して)いきたいと思っています。私たちは外部依存をしたくない。労働条件の差を利用して映画を作りたいとは思いませんので、何とかして自分たちのリスクで映画を作っていきたいと思っています。

 全国から若者たちが集まってきますが、東京で1人暮らしを始めて、勤めをするのはとてもストレスが強いので、ちょっと東京を離れた別の場所に養成用スタジオを作りました。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセスランキング
  • 本日
  • 週間

    Digital Business Days

    - PR -