12時間乗って2525円……GSの中古車レンタカーは普及するのだろうか?

» 2009年03月02日 07時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

 「クルマを買いたいけど高い……。レンタカーで十分だけど、ちょっと高い気もする」と感じたことはないだろうか。特に都心で住んでいればクルマの維持費が高くつくため、必要なときにレンタカーを借りる人も多いだろう。しかし近くにお店がないため、タクシーを利用している人もいるのではないだろうか?

 「レンタカーは安く、そして近くに」といったニーズを受け、レンタスは2008年7月、中古車を利用した低料金の「ニコニコレンタカー」をスタート。利用者は最寄りのガソリンスタンドでクルマを借りることができ、料金は小型車(1000CCクラス)で2525円(12時間利用で保険料を含む)。大手レンタカーでの利用料金と比べ、半分ほどでクルマを借りることができる。

中古車レンタカー、スタートのきっかけ

 「そもそもレンタカーは、新車のクルマでなくもいい。安ければ中古車で十分」と考えている人もいるはず。ガソリンスタンドで中古車を貸すというビジネスを、レンタスはどのようにしてスタートさせたのだろうか。

 まずレンタスは、ガソリンスタンドに押し寄せる構造変化に注目した。1996年の石油自由化※や1998年のセルフスタンド解禁などの影響によって、ピーク時には全国で6万店舗あったガソリンスタンドが、2008年3月末時点で4万4000店舗に減少。「ガソリンスタンドは品質による差別化が難しく、価格競争が激しい業界」(レンタス)。そのため資本力や収益力が足りないガソリンスタンドは生き残ることが難しく、新たな収益源を求めるところが多い。

※正式名は特定石油製品輸入暫定措置法。それまでガソリンなどの輸入は石油会社だけに限定してきたが、安い製品の輸入を妨げていると批判されて廃止された。

 その一方でレンタスは、中古車の流通システムにも着目。人気がない下取り車はオークションで“値がつかない”ことも多く、スクラップされていく下取り車を「なんとか有効活用できないか」と考えた。

 十分に使える中古車、新たな収益源を求めるガソリンスタンド――この2つを組み合わせ、ガソリンスタンドで中古車のレンタカーを扱うことにした。

3年後には1000店舗を目指す

 中古車レンタカーの第1号店となった「スーパーステーション仲町店」は、2008年7月にスタート。当初の売り上げは月30〜40万円だったが、12月には150万円を突破。クルマの稼働率も「大手レンタカーでは50%弱だが、仲町店では50〜60%を維持している」(レンタス)と、好調な滑り出しを見せている。レンタスの坂見鹿郎(さかみ・ろくろう)社長は「(ニコニコレンタカーは)既存のガソリンスタンドを利用するため、設備費や人件費など、コストを抑えることができるのが特徴」とし、3年後には1000店舗を目指すという。ただ「洗車場がないガソリンスタンドで、営業を始めるのが難しいのが課題」とも。

 「若者のクルマ離れ」といわれている中、どこまで低価格の中古車レンタカーは普及するのだろうか? また不況などの影響により、新車の販売台数が激減していることについて「確かにクルマを手放す人たちは増えている。しかしクルマを利用するという人は減少しておらず、レンタカーを利用する人は増えるのではないか。今の状況は、むしろ“追い風”と見ている」(坂見社長)という。

 ちなみに中古車といっても、4つの条件を満たしたクルマを用意している。(1)安全性に問題がないこと、(2)走行が5万キロ以下であること、(3)ボディにキズがなく見た目がきれいであること、(4)室内もキズや嫌なニオイがないこと――。またレンタカーを利用する際には事前に予約が必要。消防法の関係でガソリンスタンドにはクルマを駐車させることができず、近隣の駐車場にクルマを用意しているからだ。また返却するときの「満タン返し」も、そのガソリンスタンドで給油できるので手間がかからず、ちょっとした利便性も兼ね備えている。

 これまで「レンタカー」と聞けば、大手自動車メーカーなどの名前を思い浮かべる人も多いのでは。新車にはこだわらないが、価格には“こだわる”人にとって、中古車レンタカーは使い勝手がいいのかもしれない。

ニコニコレンタカーの料金体系

クルマの車両 6時間以内 12時間以内 24時間以内
1000CC以下 2100円 2525円 3360円
1001CC〜1500CC 3360円 3885円 4725円
1501CC〜 4200円 4725円 5750円
1BOXカーなど 5460円 6825円 8610円

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